【動画】ベネズエラ国境のコロンビア北部ククタで、反マドゥロ派が送る人道支援物資の搬入を認めるよう求めるベネズエラ人たち=岡田玄撮影
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 「あなたも家族も食べ物や薬がなくて困っているでしょう。運び入れるのは、人道支援物資です。ベネズエラ国民のためです」

 23日午前、南米ベネズエラと西隣のコロンビアを隔てるタチラ川に架かるシモンボリバル橋。橋の真ん中に陣取って国境を封鎖するベネズエラ治安部隊の隊員に、コロンビア側からベネズエラ人の女性が語りかけた。隊員の多くは女性と目を合わせるのを避けた。女性の前に立つ若い隊員は、耐えきれずうつむいた。

 橋のコロンビア側には治安部隊と向き合う形で、たくさんのベネズエラ人が集まっていた。食料不足にあえぐ母国から、コロンビアに逃れた人々だ。「自由を! 自由を!」と声を合わせ、封鎖解除を訴えた。

 ベネズエラでは独裁色を強めるマドゥロ大統領への反発から政情不安が続く。食料や医薬品が不足する人道危機に陥り、300万人以上が国を脱出。反マドゥロ派は23日、米国などからの支援物資を国内に運び入れようとしたが、政権は軍と警察を使って国境を封鎖して実現させなかった。

 橋と周辺はこの日、治安部隊が放った催涙ガスの煙でかすんだ。鼻とのどが痛み、目に染みて涙が出る。「パンパンパン」と乾いた発砲音が響くたび、治安部隊と衝突する前線からコロンビア側へ逃げる人々が押し寄せた。頭から血を流して運ばれる男性もいた。

 だが風が催涙ガスを吹き流すと、コロンビア側に逃げた人々は「シ、セ、プエデ!(そうだ、できる!)」と声を合わせ、再びベネズエラ国境へ向かった。(コロンビア北部ククタ=岡田玄)