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遠藤乾=国際

△毛受敏浩「移民『元年』 課題と展望」(世界3月号)

 今年を「移民元年」としたうえで、正面から就労目的の新制度を導入する点で政府案を一歩前進と評価する。他方、課題は深刻かつ喫緊である。まず実習生制度の残存、過酷な搾取の放置を是正しなければならない。次に、特定技能2号制度は外国人労働者の定住に道を開いたが、熟練工不足問題に対処するためにも、その実施には最初から2号制度で来る人を増やし、家族帯同を認めるべきだとする。最後に、定住外国人を生活者として扱う必要がある。福祉や教育の拡充を急ぎ、受け入れ後のビジョンを今から描くべきだという。

△東野篤子「中欧における『法の支配の危機』 EU内部に深まる亀裂」(シノドス、1月31日)

 東野は、EUが抱えた新しい問題、すなわちハンガリー、ポーランドにおける反自由主義的・権威主義的傾向について分析している。それはEUがよってたつ理念に正面から挑戦しているが、EU側の対応は決め手を欠くという。すでにEUは、両国に制裁手続きを開始しているのだが、その実施には全会一致の合意が必要で、両国はお互いを守ることになる。次に、補助金削減という手があるが、これは被害者でもある両国民に負担のしわ寄せがいくことから批判も多い。最後に、欧州裁判所への提訴が考えられ、実際にポーランドは、これにより少々態度を軟化させた。だが、ハンガリーは態度を変えておらず、欧州議会の政党政治の力学でうやむやになる可能性もあり、EUの力量が問われる局面だと説く。

△エリザベス・ウォーレン「民主主義を救うには 歪(ゆが)んだ米経済システムの是正と外交の再生を」(フォーリン・アフェアーズ・リポート2月号)

 民主党から大統領選への出馬を表明したこの上院議員は、アメリカでは一握りのエリートのために政治が行われていると批判する。他方で、中ロが勃興・再生し、権威主義モデルが輸出されていく。このままでは、アメリカを含む、民主社会も、政治腐敗と泥棒政治への道を歩み、民主主義とは名ばかりの国に転落していく恐れがある。その流れを覆すには、一握りのエリートだけでなく、すべてのアメリカ人に恩恵をもたらす政策と外交を展開するべきだという。

木村草太=憲法・社会

△境家史郎「9条への『無』意識進む 重要さ増す世論調査の質」(Journalism2月号)

 憲法改正に関する世論調査の歴史を緻密(ちみつ)に分析した業績を持つ著者が、改憲世論調査を論じる。境家は、自衛隊設置や安保法制などのタカ派的な政策の実現により、憲法条文を改正して現状を変えようとする人が減り、かえって9条改正志向が低調になったと見る。現状、「最大勢力は、改憲賛成派でも反対派でもなく、『どちらともいえない』派」であり、国民の9条への平均的意識は「『無』意識」だ、というのが境家の見立てである。

 こうした中、世論調査を行う場合、「改憲に賛成か」という回答結果の解釈が困難な設問ではなく、具体的な条文を示し賛否を問うべきだとする。基本的に正しい指摘と思うが、憲法条文案は、解釈が難しいことが多いのも事実である。「国連軍への参加をできるようにする改憲」などのように、具体的なテーマを明示した分かりやすく、解釈しやすい世論調査の道も検討されるべきだろう。

△二関辰郎「イラク戦争検証報告…

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