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 北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長らがハノイに向けて鉄路で移動している。金正恩氏が利用する特別列車は、どんな構造になっているのか。北朝鮮外務省に勤務していた1988年当時、列車に乗った経験のある高英煥(コヨンファン)・元韓国国家安保戦略研究院副院長に話を聞いた。

 金日成(キムイルソン)主席がアフリカ諸国首脳を招き、平壌から景勝地の妙香山(ミョヒャンサン)に向かう際、高氏も特別列車に同乗した。当時は12両編成で、そのうち5両が金主席専用の車両だった。5両は寝室、浴室、食堂、執務室、通信室だったという。

 随行団は外交官のほか、警護担当者や医師、料理人らだった。随行団用の車両には4人1部屋のコンパートメントが1両に12部屋あった。窓は防弾ガラスで、開けられないよう固定されていた。警護担当者は当時、金主席の専用車両は床も防弾仕様だとし、「床下で爆弾が爆発しても大丈夫だ」と語ったという。

 車両は全て同じ形状で、最高指導者がどこにいるかは最高度の秘密になっている。国内で列車を使う場合、最高指導者の動きを隠すため、同じ形状の予備車両を別の方向に走らせてカムフラージュすることもあったという。

 金正日(キムジョンイル)総書記は2001年、列車で24日間にわたってロシアを訪問。シベリア鉄道の利用は通算約2万キロにおよんだ。当時の車内には、衛星通信で列車の位置などを映し出すスクリーンも備えられていたという。

 金正恩氏も今回、片道50~60時間かけて平壌からハノイに向かっているとみられる。

 「列車は動く執務室で、何の不自由もない」と高氏は語る。(ソウル=牧野愛博)