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 東京都渋谷区幡ケ谷3丁目の児童養護施設「若草寮」で、施設長の大森信也さん(46)が胸などを刃物で刺されて死亡した事件。大森さんは児童養護の現場で10年以上経験を積み、数年前に若草寮の施設長になった。「全国児童養護問題研究会」の芦田徹事務局長(50)によると、大森さんは同会編集部次長を務めた。機関紙や研究誌の発行に携わり、研究会の会議などで「常に子どもの権利を大切に支援していかないといけない」と語っていたという。「優しい視点で子どものことを第一に考えていた。温厚で、恨まれることは考えられない」

 同会長の武藤素明さん(66)は、大森さんが「施設に入ってくる子どもたちの多くは親から暴力を受けて傷ついている。守らなければいけない」と語っていたことを覚えている。児童相談所の新設にも関わっていたといい、「若草寮だけでなく東京や全国にとっても大きな存在だった」と悼んだ。

 数年前まで若草寮で暮らしていたという男性は、大森さんについて「当時は施設長になる前で職員の一人だったが、正義感が強く、優しい方だった」と言う。「施設の職員は親代わり。物事の善悪を教えてくれたり、進路の相談に乗ってくれたり、支援してくれた。施設の生活環境も年々良くなっている。(容疑者が)『施設に恨みがあった』と言っているそうだが、そのことの方が信じられない」と話した。