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 難解なイメージが先行しがちな寺山修司作品の主人公らを親しみやすいイメージキャラクターにデザインした。三沢市寺山修司記念館の公式ツイッターやSNSの4コマ漫画「テラヤマ・キッズ4コマ劇場」に登場し、好評だ。

 青森市で育ち、小学生のころから漫画が大好きだった。少女漫画から始まり、ドラゴンボール、スラムダンクと幅広く読みあさった。小学4年生の時にインクやペン、スクリーントーンなどがセットとなった「漫画キット」を買ってもらい、「将来は漫画家になるんだ」と漠然と思った。

 寺山の存在は、中学生のころから知っていた。祖母は同人誌を立ち上げ、小説が芥川賞の候補にもなったこともある。母は詩人で、文芸誌に応募するなどしていた。寺山の物語などを同人誌が掲載していたこともあったという。

 地元の高校を卒業後、ほぼ無計画で東京の出版社などへ漫画を持ち込んだ。演劇をやっている友人を頼って上京。「初めて一人で行く東京。期待と不安でドキドキでした」と振り返る。しかし、甘くはなかった。良い反応がないというより、「相手にされなかった」。修業のため東京で暮らすことも考えたが、「東京で描けなくなる人も多い。あなたは、北にいた方がいい人ですよ」と作品を持ち込んだ東京のギャラリー側から助言を受け、戻った。

 就職難の時代で、公務員試験にも挑戦したが不合格。その後、青森市でOL生活を送っていた24歳の時、転機が訪れた。絵の良き理解者で、いつも「個展を開きなさい」と応援してくれた母親が亡くなった。再び筆を持った。ニーズがある似顔絵、名刺や同人誌のイラスト、さらに新聞の法廷イラストなども描いた。そして東日本大震災が起き、創作意欲が消えかけていた時、記念館から「パンフレットをつくらないか」とオファーがあった。

 2012年に完成したのが寺山が監督した映画「田園に死す」の主人公を親しみやすいキャラクターにした「しんちゃん」だ。「描くのが遅い私でしたが、あっさり誕生しました。降りてきたんですかね」と笑う。看板女優の「ケイコ」、そして「さじき犬」とキャラクターは増えた。

 記念館が発信している4コマ漫画には、「作品ありがとう」などの書き込みが多く寄せられ好評だ。「漫画にはまだまだ可能性がある。漫画を通じてさまざまな挑戦をしていきたい」と意欲的に語る。そして、「寺山は、何人分もの人生を生きたくらい功績を残した。ネタはたくさんあります」と続けた。(横山蔵利)