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 欧州連合(EU)から離脱しても経済や文化の停滞を食い止めたい――。英国の首都ロンドンで、そんな取り組みが進んでいる。中心部にある金融街「シティー」を文化発信の拠点として活性化させる計画はその一つ。鉄道の新路線の建設も進む。国際的に開かれた魅力は維持できるのか。

 英国がEU離脱を決めた2016年6月の国民投票で、ロンドン市民の59・9%は「残留」に投じた。人権弁護士出身でパキスタン系のサディク・カーン市長も残留派だ。移民受け入れや文化的な多様性に寛容なリベラル派で、欧州主要国首都の市長では初めてのイスラム教徒だ。23日には国民投票の再実施を求めるデモの先頭に立った。

 だが、取り巻く現実は厳しい。英政府が昨秋まとめた試算では、EUとの合意なく離脱した場合、15年後の英国の経済規模は残留時より9・3%縮む。うまく離脱できても、3・9%は縮むという。リーマン・ショック以上の停滞になるかも――。離脱を巡る議論が混迷を深め、英国ではそんな悲観的な見方さえ持ち上がる。

新たな音楽ホールを建設

 そんな中で注目されているのが「文化マイル構想」だ。テムズ川の北岸一帯の東西約1マイル(1・6キロ)の地区でロンドン交響楽団やロンドン博物館、文化複合施設バービカン・センターなどをまとめ、存在感を高める構想だ。

 目玉は、新ホールが入る「センター・フォー・ミュージック」(仮称)。移転するロンドン博物館の跡地に建てられ、バービカンに代わるロンドン響の演奏会場になる。隣接する環状交差点を地下化し、上部は遊歩道にする。

 新ホール構想は15年、当時のキャメロン政権と大ロンドン市が計画した。だが、EU離脱後の経済的な見通しが見えないことから、現メイ政権は16年暮れに調査費を打ち切った。その計画を金融街シティーを管轄する自治体シティー・オブ・ロンドンが引き継ぐ。離脱を進める政権側へのいわば「意趣返し」だ。

 総工費2億8800万ポンド(約410億円)のうち、現時点で認められた支出は、デザイン予算の249万ポンド(約3億5500万円)。ホールの命名権の販売を含め、民間資金を活用する。

 音響の優れたホールがないといわれるロンドンで、新ホールを待ち望む英国人がいる。ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者を昨年退き、祖国でロンドン響の音楽監督を務める世界的指揮者サイモン・ラトル氏(64)だ。同氏が「世界最高の音響」と評価するのは、神奈川県のミューザ川崎シンフォニーホール。音響設計はコンペの末、同ホールやサントリーホールを担当した日本の音響設計家豊田泰久氏(66)に委ねた。ステージの周りを約2千席の客席が囲むビンヤード(ぶどう畑)方式になる見通しだ。

■EU離脱への…

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