【動画】スマホ用アプリを使って、視覚障害者の買い物を支援。東京大の学生の卒業研究で開発が進んでいる
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 店に並ぶ商品の価格や色柄などについて、音声や振動で伝える視覚障害者向けのスマートフォン用アプリを、東京大の学生らが開発している。店頭で実際にアプリを使ってもらいながら、実用化を目指している。

 閉店作業の進む東京都中央区のデパート「日本橋高島屋S.C.」の婦人靴売り場で1月下旬、都内に住む石井喜美江さん(61)がアプリの使い勝手を確かめる実験に参加した。

 売り場でアプリを起動すると「シンプルなパンプスが多いエリア、遊び心のあるデザインの靴が多いエリアの順に並んでいます」という音声案内が流れた。

 あらかじめ登録した目当ての商品が並べてある棚に近づくと、スマホが振動して知らせる。商品の前にかざすと「ライトグレー色の婦人パンプスです。価格は2万円」と教えてくれる。

 昨年から同店で在庫管理のために試験的に導入が始まった電子タグの情報を、アプリが読み取って音声で説明する仕掛けだ。石井さんは「音の聞き取りが難しいなど改善は必要だけど、買い物がまた楽しくなるかもしれない」と笑顔で話した。

 おしゃれが好きな石井さんは3年前から弱視が進み、いまでは商品の色が見分けられなくなった。初めての店では、店員さんに声をかけてもらわないと、商品の陳列や流行色が分からない。なじみの店ばかりに行くようになり「買い物がおっくうになっていた」と話す。

 アプリの開発を手がけているのは、東京大・矢谷浩司准教授の研究室で学んでいる4年の嶋田紅緒さん(22)。石井さんのような声が多数あることを知り、卒業研究で視覚障害者が買い物を楽しめるサービスを開発することにした。

 現在、音声をより分かりやすくするなどの改良を続けている。嶋田さんは「誰もがショッピングを楽しめる社会を目指したい」と話している。(杉本崇)