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 ベトナムの首都ハノイで27日、米朝首脳会談のため訪れているトランプ米大統領と、ベトナムの最高指導者グエン・フー・チョン共産党書記長兼国家主席が会談した。かつてベトナム戦争で敵対した両国は、今や経済や対中国などで協調し合う関係にある。両国を代表する企業間の多額の契約成立も発表された。

 「ベトナムでとても重要な会談を開けることに満足している。なぜなら、ベトナムはまさに、(北朝鮮にとって)何が起こりうるのかというよいお手本だからだ」。トランプ氏はこの日のチョン氏との会談でこう語りかけ、関係の良好ぶりを強調した。

 米越両国はかつて戦火を交えたが、1995年に国交を正常化。2016年に当時のオバマ大統領が訪問するなど関係改善が続く。価値観重視のオバマ氏に対し、トランプ氏は実利的な外交を展開しており、その変化が今回も垣間見えた。

 会談後、米ボーイング社の航空機の機体計110機と、米ゼネラル・エレクトリック社の航空機用エンジン合わせて総額約210億ドル(約2兆3260億円)を、ベトナムの格安航空会社ベトジェットとバンブー航空が購入する契約が発表された。

 米政権幹部はこの契約が「米国の8万3千人の雇用に貢献する」と強調。米国が抱える対ベトナム貿易赤字の削減に貢献し、トランプ氏が重視する雇用拡大という成果につながる。ベトナムにとっても、経済関係で米国を自国側に引きつけておく利点がある。

 中国との長期的な覇権争いを展開するトランプ政権、南シナ海問題で中国と対立するベトナムの双方にとって、互いの良好な関係は安全保障上も重要だ。

 昨年には米原子力空母カールビンソンが南シナ海の要衝であるベトナム中部ダナンに寄港。外交筋は「米国にとって安全保障面でのベトナムの価値は上がり続けている」とみる。両国の蜜月は互いの利益を見据えつつ、今後も続きそうだ。(ハノイ=土佐茂生、鈴木暁子)