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みんな大好き「あめんどろ」

 早春の薩摩半島。えんえんと続くサツマイモ畑は収穫を終えていて、かわりに鮮やかな黄色の菜の花が咲き誇っていた。かなたには「薩摩富士」と呼ばれる開聞岳がみえた。

 鹿児島県南九州市内の一部、知覧町と頴娃(えい)町だけに古くから伝わる味がある。地元の人たちは親しみを込めてこう呼ぶ。

 「あめんどろ」

 サツマイモを煮詰めてつくる「芋蜜(いもみつ)」のことだ。子どもからおとなまで、地域のみんなから愛されている。とくに桃の節句のころには、畑に生えたヨモギをたっぷり使った「よもぎもち」に芋蜜をつけて食べるのが、この地域の習わしだ。

 芋蜜の糖度は70で、焼き芋の2倍にもなるという。記者が口にしてみると、強烈な甘さではなかった。なめると、ほんのり優しい味わいで、サツマイモそのものを食べているよう。風味のあるよもぎもちに芋蜜をつけて食べると、ほのかな甘さが加わり、上品な味わいが広がった。

 芋蜜は、抗酸化力が高く、便通や疲労回復に良いということが栄養機能学的にも実証されているという。早春のこの時期に昔から食べられてきたのは、農作業が本格化する前であり、季節の変わり目でもあるため、体力をつける意味や長寿への願いがあったとされる。

消滅の危機を救ったのは……

 その芋蜜が消滅の危機にさらされた。10年前のことだ。正しい芋蜜の作り方を知る「最後の後継者」といわれた知覧町の永野エチさん(88)が、つくれなくなってしまったのだ。

 夫で先々代の盛次さんは、「こ…

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