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トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長は28日、ベトナムの首都ハノイで会談します。昨年6月に続き、2回目となる米朝首脳会談の模様をタイムラインで追います。米国や朝鮮半島に詳しい記者の解説もお届けします。

 (タイムライン上の表記は日本時間)

13:00過ぎ

拡大会合の様子公開

 拡大会合の様子がメディアに公開される。画面から確認できた米朝双方の出席者は次の通り。

 【米国】

トランプ大統領、ポンペオ国務長官、ボルトン大統領補佐官

(以下、テーブルではなく後部列の座席に)ポッティンジャー国家安全保障会議(NSC)アジア上級部長、ビーガン北朝鮮政策特別代表

 【北朝鮮】

金正恩朝鮮労働党委員長、金英哲同党副委員長、李容浩外相

佐藤武嗣編集委員の速報解説

正恩氏、米国記者に初めて返答

 正恩氏が米国記者の質問に初めて応じた。米紙ワシントン・ポストのデビッド・ナカムラ記者が28日午前、トランプ氏との会談結果に自信があるかと問うと、一拍置いた正恩氏は通訳を介して「答えるにはまだ早いが、悲観していない」と答えた。

 米CNNは「正恩氏が外国のジャーナリストの質問に答えたのは初?」と報じた。「北朝鮮で独裁政治を支配している正恩氏は、報道陣からの質問を受けることはめったにない。あったとしても国営メディアだけ。以前は外国人記者が質問しても、沈黙を通してきた」と分析した。国際NGO「国境なき記者団」は、北朝鮮の報道の自由度は180カ国中最下位に位置づけられるとも指摘した。

13:10

正恩氏、米国の連絡事務所を歓迎

 正恩氏は米国が北朝鮮に連絡事務所を設置する考えについて、歓迎の意向を示した。記者団の質問に答えた。

 また、非核化の意志を問う記者に「なければ今ここにいない」と回答。これを聞いたトランプ氏は「素晴らしい答えだ。ワオ、最高の答えじゃないか」と喜んだ。

トランプ氏、疲れてる?

 トランプ氏と正恩氏は会談の冒頭、緊張した面持ち。互いに賛辞や会談への期待の言葉を発したが、和やかな雰囲気とは言えなかった。話し合いの難しさを表すかのようだ。

 米国と北朝鮮の国旗が並ぶ中、木製の丸いテーブルを挟んで座った2人は互いにテーブルにひじをつき、格好はリラックスしているようだが、表情は硬いまま。特にトランプ氏は疲れている様子だった。2人が目を合わせることはほとんどなく、笑顔もあまりなかった。

 記者団から「会談の結果に自信があるか」と問われた正恩氏は「答えるにはまだ早いが、悲観していない。今は良い結果が出てくると感じている」と答えた。

 トランプ氏は「終戦はあり得るか?」という記者の質問に対し、「急がない。重要なことは正しい取引だ」と述べた。

朝鮮半島とベトナムに詳しい桜井泉記者の速報解説

冷たかったベトナムの対応

 私は1997年から2年間、ベトナムの首都ハノイで特派員として過ごした。ベトナムと北朝鮮は同じ社会主義国であり盟友。ベトナム戦争のときは北朝鮮軍がパイロットを派遣し、戦死者も出している。

 あのころ、ベトナム外務省に流暢(りゅうちょう)な朝鮮語を話す職員がいた。どこで言葉を習ったかを聞くと、若い頃、平壌の大学に留学したという。「最近はもっぱら韓国政府や企業の人との付き合いばかりです。時代も変わりました」と話していた。彼は平壌で日本語も勉強したといい、簡単な会話ができたのにも驚いた。

 北朝鮮は1990年代後半、水害などで深刻なコメ不足に直面した。97年に北朝鮮の副首相がベトナムを訪問し、コメ5万トンの支援を求めたが難航。ベトナム側は1千トン程度の緊急支援をしたという。市場経済化を進めるベトナムの対応はビジネスライクで、冷たく感じられた。

11:35

2人並んで歩いて移動

 約30分間の「一対一」の会談を終えたトランプ、正恩両氏は、2人並んで建物の外を歩いて移動。次の会談会場の前には、ポンペオ米国務長官と金英哲(キムヨンチョル)朝鮮労働党副委員長が待ち構えていた。4人は軽く談笑。ポンペオ氏が「中に入りましょうか」と誘い、トランプ氏が「中に入ろう」と言って4人は建物の中に入った。その後、拡大会合が始まったとみられる。

11:00

トランプ氏「一緒にいることができて大変素晴らしい」

 トランプ氏の冒頭発言(要旨)は以下の通り。

 金委員長、どうもありがとう。あなたと一緒にいることができて大変素晴らしいし、今後数年間何回も会うことになるだろう。ディール(取引)が成立した後でも、共に多くの時間を過ごすだろう。

 私たちは昨晩、非常に良い会話を交わし、素晴らしいアイデアの数々が持ち上がった。我々の関係は非常に強固だと思うし、良い関係がある時は良いことが起こるものだ。金委員長と北朝鮮に関して、長期的な視点で見ても素晴らしい成功を収めるだろう。

 彼らは経済的な大国になる。それを手助けできることに期待している。少しの手助けだけで特別なことが起こるだろう。

 当初から強調しているように、スピードは重要ではない。核実験がないことを高く評価している。核ロケット、ミサイル、そういったものだ。非常に高く評価している。金委員長と私は昨夜、素晴らしい対話をした。私は金委員長に対し、話したいことを話し、話したくないことは話す必要はない、と伝えた。

11:00

正恩氏「立派な対話を続けている」

 正恩氏の冒頭発言(要旨)は以下の通り。

 我々は、大いに努力してきて今、これを見せるときとなった。ともに歩み、ここベトナムのハノイに来て、今、立派な対話を続けている。昨日に続き、この瞬間も全世界がこの場を見守っていると思う。我々の出会いを懐疑的にみていた人たちも(いたが)、我々が向き合って座り、立派な時間を過ごしているのを、まるでファンタジーの一場面としてみている人もいるだろう。

 今日もやはり立派な、最終的にいい結果が出るようすべての努力を尽くす。

 私の直感では今日、いい結果が生じると信じている。

朝鮮半島とベトナムに詳しい桜井泉記者の速報解説

北朝鮮はベトナムのようになれるか

 社会主義国ベトナムは、1986年からドイモイ(刷新)と呼ばれる改革開放政策をとってきた。共産党の一党独裁のもとで市場経済化を進め、日本や韓国、台湾、シンガポールなどの海外資本を積極的に誘致し経済成長を実現。昨年の実質国内総生産(GDP)の成長率は7%を超えた。

 トランプ米大統領は27日、ツイッターに「ベトナムは世界で数少ない繁栄している国だ。北朝鮮がもし非核化すれば、とても早い時期に同じようになるだろう」と投稿した。

 果たして北朝鮮は、ベトナムのような本格的な改革開放政策をとることができるだろうか。懐疑的な専門家は多い。

 ベトナムと違って朝鮮半島はいまだに南北に分断され、韓国の経済力は格段に大きい。もし北朝鮮が改革開放政策をとれば、同じ民族で言葉も通じる韓国企業がまず投資する。韓国から豊かな消費生活の話や優秀な製品が押し寄せてくるだろう。

 「なぜ韓国と生活レベルがこんなに違うのか」

 そうした疑問が北朝鮮の国民に広がれば、体制の危機につながる。北朝鮮当局は今でも、中国などを通じて流入する韓流ドラマのビデオ類を厳しく取り締まっているという。

 韓国の国民大学教授でロシア出身のアンドレイ・ランコフさん(北朝鮮研究)は、北朝鮮がとり得るのは「開放なき改革」だとし、ベトナムのような対外開放政策は無理だと指摘。「開城工業団地のように狭い地域に限って開放し、労働者を厳重に管理し外部の資本を受け入れる」方式にとどまるとみる。

【動画】米朝会談、鈴木暁子・朝日新聞ハノイ支局長の現地レポート

市民は歓迎ムード「ベトナムで平和実現を」

 米朝会談が行われているベトナムの首都ハノイは歓迎ムードに沸く。

 28日早朝、ホーチミン在住の芸術家フン・クウ・ロンさん(47)が、トランプ氏と正恩氏が握手する巨大な絵を、会談会場の近くのオペラハウス前に持ち込んだ。

 絵は高さ約3メートル、幅約2メートル。ベトナム国旗が描かれた民族衣装を着たロンさんは「戦争のあったこのベトナムで平和が実現してほしい」と話した。

 トランプ氏の大ファンという人も会場近くに駆けつけた。グエン・ホアン・ヒエップさん(14)は会談初日の27日夜、「Make America Great Again(米国を再び偉大に)」と書かれた帽子をかぶり、会場近くに立っていた。

 ヒエップさんは「トランプ氏は経済を豊かにしてくれる。そして、言ったことを実行する人だ」と大人っぽく語るが、一番望んでいるのは「一緒に写真を撮ってもらうこと」と、笑顔で答えた。

 28日、会談は2日目を迎える。両国の思惑が交差するなか、世界がさらなる平和へ向かうのか、地元の人たちは期待を込めて見守っている。(ハノイ=竹花徹朗)

労働新聞、大々的に報道

 北朝鮮の労働新聞(電子版)は28日付の1~2面で、ハノイで27日にあった正恩氏とトランプ氏の会談と夕食会の記事を写真17枚と共に大きく報じた。

 同紙は夕食会について「和やかな雰囲気で行われた」と説明。「シンガポールでの対面後、両国関係で相当の進展があったことが高く評価された。今回の会談で、包括的で画期的な結果を導き出すよう、意見が交わされた」と伝えた。(ハノイ=牧野愛博)

10:45

正恩氏が会談場所のホテルに到着

 正恩氏を乗せていると見られる黒のベンツは警察のバイクやパトカーに先導され、車両が規制されたオペラハウス前を通ってトランプ氏が待つホテルに到着した。

 入り口には、特別にテントが設営され、正恩氏の姿は見えなかったが、ベンツが着くと後続の車両から警護のためとみられる複数の男性がすぐに走り出て、正恩氏のもとへ向かった。

10:41

トランプ氏が会談場所のホテルに到着

10:40

正恩氏がホテルを出発

 正恩氏の車列が宿泊先のホテルを出発。沿道で北朝鮮と米国の旗を持ったベトナムの子どもたちが見送る。

10:24

正恩氏が乗る車がホテル到着

 メリアホテルに正恩氏が乗るとみられる北朝鮮の国旗がはためく車列が入る。

 正恩氏が泊まるメリアホテルの正面入り口では、ライフル銃を持った武装警官らが目を光らせた。

 沿道からは近くの学校の子供たちや住民らが、国旗や花を手に出発を見届けようとした。制服警官が沿道のギャラリーが規制線から道路に出てこないよう、時折、笛を鳴らして警戒にあたった。

 多くの報道陣もカメラを構えて待った。

韓国のパン屋が活躍

 ハノイ市内に設けられた米朝首脳会談の国際メディアセンターでは、韓国のパン屋でベトナムにも店舗がある「パリバゲット」が、世界から来た記者たちに朝食を配っている。

 1回目の米朝首脳会談、南北首脳会談に続きブースを出店している。

 会長が北朝鮮の黄海出身だといい、「朝鮮半島の平和を願って」の出店だという。

 韓国から来たブースの責任者は「小さなサポートがよりよい平和につながってほしい」と話した。

午後、合意文書に署名へ

 米ホワイトハウスが発表した28日の予定は、以下の通り。

11時00分  トランプ氏と正恩氏による1対1の会談

11時45分 閣僚などが加わる拡大会合

13時55分 昼食会

16時5分 合意文書の署名式

17時50分 トランプ氏が記者会見

20時5分 トランプ氏がハノイを発ち、帰国の途に

佐藤武嗣編集委員の速報解説

功焦るトランプ氏、日本政府やきもき

 非核化をちらつかせる金正恩氏に、功を焦るトランプ氏――。2回目の米朝首脳会談は、そんな構図の中で行われる。「ロシア疑惑」追及など国内政治にあえぐトランプ氏が、目先を変えようと、米朝首脳会談で安易な妥協をしないか注目だ。

 トランプ氏は成果を出そうと必死だ。交渉が始まってもいないのに、27日夜に「(会談は)大成功するだろう」と語った。

 米議会は27日に公聴会を開き、トランプ氏のロシア疑惑への関与を元弁護士が暴露。批判の矛先をそらすため、米朝会談をこの日程にしたのではないかとも米メディアは報じている。

 米民主党の有力議員らはトランプ氏の出発前、北朝鮮が前回会談後も完全な非核化に反した動きをしていると指摘し、「本格的な外交計画の実行を望む」との書簡を送った。手ぶらでは帰れない。

 この状況を見過ごす北朝鮮ではない。正恩氏はこれまでも寧辺(ヨンビョン)核施設廃棄の可能性に言及しており、こうしたカードを切って「見返り」を引き出そうとするに違いない。

 問題は「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化(CVID)」への行程表がしっかり示せるかどうか。だが、トランプ氏は会談成功を印象づけようと、安易な妥協カードを切りかねない。

 昨年6月に行われた初の米朝会談では、米国防総省も知らされていなかった「米韓合同軍事演習の中止」を北朝鮮に約束した。今回も、確実な非核化の担保がないのに、朝鮮戦争終結宣言を約束したり、将来的な在韓米軍撤退や経済協力などに言及したりしないか、日米両政府の関係者は神経をとがらせている。

 日本外務省幹部は「前回の会談後、トランプ氏は記者会見で日本が経済支援でカネを出すと発言した。今回も『日本のカネ』に言及しなければよいが」と警戒している。

1日目夕食会、「超軽め」のメニューに変更

 両首脳は27日午後8時半ごろから、ハノイのメトロポールホテルで会談。冒頭、トランプ氏は「1回目の首脳会談で我々は大成功を収めた。今回も同等かそれ以上の成功となるよう願う」、正恩氏は「我々は明日、とても忙しい一日を送る」と発言した。

 27日午後9時過ぎには、同じホテルで夕食会に臨んだ。米ホワイトハウスが発表したメニューは以下の通り。

 【前菜】冷たいエビのカクテル、ロメインレタスと刻んだアボカドにレモン、ハーブ、サウザンドアイランドドレッシング

 【メイン】牛サーロインのグリル、新鮮なキムチを詰めた梨

 【デザート】チョコレートラバケーキ、新鮮なベリーとバニラアイスクリーム

 【飲み物】干し柿と蜂蜜で甘みをつけた(朝鮮半島の)伝統的な飲み物

 米CNNなどによるとメニューは直前に変更され、米国と朝鮮風を織り交ぜた4品の「超軽め」のディナーになった。現地報道によると、当初代表記者団に明かされた品書きでは、ホタテとグリーンマンゴーのサラダ、ハノイ風揚げ春巻き、タラを使ったベトナム料理「チャーカー」(揚げ魚の鍋料理)などベトナム風の5品が予定されていたという。