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 「季節杜氏(とうじ)」は、農業のかたわら日本酒造りに従事する職人たちだ。稲刈りが終わると酒蔵に泊まり込み、田植えの時期には故郷に戻る。そんな杜氏たちが今、姿を消しつつある。家族のかたちや働き方の変化は、酒造りの世界にも変化を迫っている。

 冬の凜(りん)とした空気に満たされた未明の酒蔵。プチプチ、プチプチと泡のはじける音が、絶え間なく響く。タンクの中でもろみが発酵し、炭酸ガスが発生しているのだ。

 「ようしゃべっとるな。元気な証拠や」

 兵庫県丹波市の山名酒造の酒蔵で、青木卓夫さん(69)が顔をほころばせた。300年以上続く老舗で2008年から、酒造りの指揮を執る、杜氏を務めている。

 地元の農家で生まれ育ち、高校卒業後、山名とは別の酒造会社に就職した。水戸市の酒蔵に修業に出るなどしたあと、30歳の若さで杜氏に起用された。以来、一時期大手酒造会社に請われて地元を離れたものの、長い間、地元で「丹波杜氏」として活躍を続ける。

 一方で青木さんは、実家の米作農業も継いでいる。杜氏としての活動は、毎年10月から翌年4月ごろまでだ。酒蔵に寝泊まりし、車で10分ほどの自宅に帰ることはほとんど無い。年末年始も他の職人を休ませて、一人で蔵に泊まり込む。今年も自宅に帰ったのは1月3日。青木さんは、「慣れたら苦労とは思わん」。

 山名では、青木さんを含めて4人が、冬の間だけ働くスタイルを貫いている。山名洋一朗専務は、「丹波の酒造りの文化だ。何とか昔ながらの酒造りを続けたいのだが」。

日本酒の世界に生産革命の波が押し寄せています。記事後半では酒造りの動画とともに、若者を中心にデータを駆使した酒造りをする「獺祭」の旭酒造にも迫ります。

 青木さんたちの強みは、米をよ…

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