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 智弁和歌山の前監督・高嶋仁さんが31日、阪神甲子園球場で市和歌山、智弁和歌山の和歌山勢が2校戦った準々決勝を見守った。

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 ええ試合こそ、勝たなアカン。3月31日の選抜高校野球大会準々決勝は、和歌山勢にとっては悔しい結果となりました。

 市和歌山は一回に3―1と逆転し、主導権を握りました。その後も相手のミスなどで毎回のようにチャンスをもらったのに、追加点がとれんかった。そういうことをしとると、ジワジワと習志野(千葉)ペースに変わっていってしまう。

 案の定、1点ずつ取られて逆転されてしまった。野球の神様はよう見てます。流れを手放してしまうと、勝たせてはくれません。

 決勝点は守備のミスも出ましたが、これはしゃあない。野球ですから。ぼくならベンチで「お前の力はそんなもん。何点とられたんや。その分を打って返せ」と話します。野球は攻撃と守備がまったく別に用意されている。ミスを引きずるのが一番よくないんです。

 智弁和歌山は反対に五回に追いつきながら、六、七回のチャンスに勝ち越せなかった。本来の打撃ができていなかった3番の黒川史陽、4番の東妻純平に当たりが戻ってきたのだから、一気にひっくり返さないとあかん。敗因はそこです。

 ただ、大きな収穫もありました。2年生右腕の小林樹斗が三回から登板し、明石商(兵庫)の勢いを止めました。それが反撃につながったのです。最後はサヨナラ本塁打を打たれましたが、よう投げました。

 もちろん、2年生が頑張っているからこそ、なおさら智弁は勝たなければいけなかった。こういう展開になったら、どんなことをしても走者を二塁に進めて相手に重圧をかけ続けないといけません。甲子園初采配の中谷仁監督も、いい勉強になったでしょう。

 市和歌山には岩本真之介という素晴らしい2年生左腕がいます。智弁和歌山も小林樹が貴重な経験をしました。夏の和歌山大会も、この両校が中心の展開になるでしょう。春につかんだ自信と教訓を、これからの3カ月間にどう生かすか。ええ試合を勝ち切れるチームに成長した方が、甲子園に戻ってくるんやないでしょうか。(智弁和歌山・前監督)