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 選挙権年齢が18歳以上に引き下げられてから、初となる統一地方選。若者の投票率低下が問題となるなか、選管はPRに人気ユーチューバーやタレントを起用するなど躍起だ。でも、選挙離れの本当の理由って何なんだろう? 静岡県内で啓発活動をする当の若者たちに聞いてみた。

 「私たちの党は不妊治療への助成金を始めます」「結婚する若者を増やすため、浜松に多い外国人との国際結婚を推し進めます」

 統一地方選前半戦の投開票まで1週間ほどになった3月30日夕。浜松市中区の市民協働センターの一室で、各「政党」によるマニフェストが次々と読み上げられていく。県内の大学生を中心とした若者でつくる団体「浜松若者社中」と浜松青年会議所が企画した「わかもの模擬選挙!」の一幕だ。

 将来を担う若者に政治への関心を高めてもらうのを狙ったイベント。「浜松を多子社会にするための事業」をテーマに、18~40歳の男女10人が三つの班に分かれ、政治家になった気持ちでそれぞれの政党名や党の政策を考え合った。

 最年少参加は春から静岡文化芸術大に入学する橋本成美さん(18)。高校2年生の頃から政治を学ぶイベントに参加してきた。今回の統一地方選が初めての投票となるが、同級生の反応は冷ややかだ。「学校で政治の話をすれば『変なやつ』と思われるから」と、SNSの専用アカウントを使い分けて政治に関する意見を発信している。

 10歳下の妹がいるため、浜松市長選では子育て支援が気になる。ただ、デジタル世代の若者には候補者の政策を目にする機会が少なく、文章も長くて分かりにくい。「政策は簡潔にして、SNSで拡散させるべきだ」と訴える。

 「若者社中」はこれまでも議員を招いて政治を語り合う座談会「ワカセイッ!!」などを開催してきた。現在の代表で静岡大2年生の山口七海(ななみ)さん(19)は、選挙に関心のある人とそうでない人の「極端な二分化」を指摘。模擬選挙も当初は20人を想定していたが、集まったのはその半数だった。「参加するメンバーの顔ぶれもほとんど同じで、狭いところで盛り上がっているだけだと思う」。4月は引っ越しや入学の時期でもあり、「ネット投票などで手間を省かないと、わざわざ足を運ぶ学生なんて増えない」と考える。

 若者の投票を促そうと、県選管は選挙権年齢が引き下げられた2016年度から、20歳前後の若者を「若者選挙パートナー」に任命。「同年代だからこそ伝わるものがある」と、パートナー主体の出前授業や啓発活動を行ってきた。

 パートナー3期生で静岡大の斉藤瞬さん(21)は「出前授業班」に所属し、授業で使う発表用ソフトの作製に力を入れてきた。大事にしたのが「『へぇ』と思わせ、敷居を低くすること」。旅行でも期日前投票が出来る▽最初の投票者は投票箱が空であることを確認出来る――などをクイズ形式で伝える内容とし、18年度は県内五つの小学校や高校で授業を行った。

 大学の友人の多くは「投票なんてめんどくさいし、行かないでしょ」といい、出前授業では眠そうにあくびする生徒の姿もあった。「若者に不利な社会になってからじゃ遅いという危機感が薄い。小学校から主権者教育が必要ではないか」

 18歳選挙権が導入されて最初の国政選挙となった参院選では、県内の18歳の投票率が49・31%なのに対し、19歳、20~24歳で徐々に低下。25~29歳は持ち直したが、18歳に比べて低い水準だ。17年の県知事選や衆院選でもほぼ同様の傾向だった。

 長崎出身で、自身もかつては不在者投票をしなかった斉藤さんはこう思う。「『18歳』ばかりが取り上げられて、それ以外は忘れられているんじゃないか。県内外も含めて、たくさんの若者の声を聞く選挙であってほしい」(増山祐史)