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 床に落としたカバンから突然の炎。火元はスマートフォンを充電するモバイルバッテリーだった――。そんな事故が、全国で相次いでいる。内蔵されたリチウムイオン電池の発火が原因で、国もメーカーに安全検査を義務づけるなど規制強化に乗り出している。

 今年1月、福岡県粕屋町の「イオンモール福岡」にあるレストランで、女子高校生(18)のカバンから火の手が上がった。レストランの従業員が厨房(ちゅうぼう)に運び、水をかけて消し止めた。

 県警や消防によると、原因はカバンに入れていたモバイルバッテリー。カバンがソファから約50センチ下の床に落ちた衝撃で発火したとみられている。バッテリーは原形をとどめないほど焦げており、女子高生は「発火時にシューという異音がした」と話したという。約1年前に雑貨店で買った国内製で、リコールの対象にはなっていなかった。

 独立行政法人・製品評価技術基盤機構(NITE)によると、リチウムイオン電池を使ったモバイルバッテリーやスマホなどが発火するといった事故は年々増加。2017年度は175件起きており、13年度の2・5倍だった。13~17年度に起きた計582件を製品別でみると、モバイルバッテリーが最多の150件で約25%を占めた。主な原因は、製造時の異物混入や落下などによる衝撃。内部でショートして発熱し、発火したという。

 モバイルバッテリーの事故増加を受け、経済産業省は昨年2月、電気用品安全法の規制対象に追加。メーカーに対し、圧力や衝撃をかけても発火しないことなどを出荷前に検査するよう義務づけた。1年の経過措置を経て、今年2月からは検査基準を満たしたことを示す「PSEマーク」付きの製品しか販売できなくなった。メーカーや輸入業者には、検査記録の3年間の保存なども義務づけた。

 NITEの担当者は、モバイルバッテリーの事故増加の理由として、スマホの普及や、災害時の備えなどとして使う人が増えたと指摘。「持ち歩くときは充電中でなくても、なるべく衝撃を与えないようにしてほしい」と注意を呼びかけている。(島崎周、合田純奈)