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 大分県由布市湯布院町の観光名物「辻馬車」が今年も今月から走り始め、春の訪れを告げている。ひづめの音を響かせ行き交う姿が好評で、今年は熊本地震前の「3台態勢」復活を目指して準備が進む。関係者は春の大型連休には間に合わせたいと意気込んでいる。

 観光辻馬車は、1975年の県中部地震で減った観光客を呼び戻そうと、その年の夏に始まった。2016年の熊本地震をきっかけに業者1人が引退し、2台による運行に。行楽シーズンだけでなく、普段の平日でも観光客でいっぱいになって乗れないことがある人気ぶりだ。

 「何とかしたい」と由布院温泉観光協会理事で辻馬車を運営し、自ら操る「御者」もしている佐藤宏信さん(39)が約1千万円かけ、ベルギーへ行って馬2頭を購入、空輸した。以前、由布院で人力車を走らせていた山城亮敬さん(30)に声をかけ、6年ぶりに沖縄から戻ってもらい、昨年、訓練を積んで御者デビューを果たした。馬車購入のためクラウドファンディングで支援を募り、全国の辻馬車ファンら72人から107万円が集まった。

 新たに加わった馬はベージュのシャレルと、黒に近い茶色のデジレ。ともに体重は1トン超で、これまでの馬より一回り以上大きい。性格はおだやかで、古里でも切り出した木を運んだりエビを捕る地引き網を海に入って引っ張ったりと、人との仕事は経験十分だ。

 シーズンオフの1、2月に馬車を走らせる訓練をすると、人や車が多い街中にもすぐに慣れ、デジレは今月11日にお客を乗せて走った。シャレルも月内デビューを目指す。ローテーションを組んで経験をつませ、4月下旬からの大型連休前には同時に3台を走らせる態勢に戻したいという。

 由布岳を眼前に見ながらJR由布院駅前を出発し、田園風景が広がる由布院盆地を約1時間周遊する辻馬車は、道行く人と乗客が手を振り合い、ゆったりした雰囲気を作り出す。「辻馬車は由布院になくてはならないもの」と、由布院温泉観光協会長の桑野和泉さんは力を込める。

 博多と由布院、別府を結ぶ観光列車「ゆふいんの森」も昨年7月、約1年ぶりに久留米経由の通常ルートに戻った。桑野さんは「辻馬車も3台に戻れば由布院もより活気づく」。佐藤さんは「ひとりでも多くの人に辻馬車から四季折々の由布院を満喫してもらいたい」と話している。

 運行は当面、午前9時半~午後4時、2台で1日10便。予約は当日午前9時からJR由布院駅前の市ツーリストインフォメーションセンター(0977・84・2446)で受け付ける。電話も可だが、人数が多い時はセンターを訪れた人が優先。4歳~小学生1100円、中学生以上1600円。(矢鳴秀樹)