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 東日本大震災で被災した42市町村が、災害対応や復興の過程で作成した公文書やメモ類などの震災資料。朝日新聞のアンケートでは被災市町村の過半数が公文書の一部を廃棄、またはその可能性があると回答した。その一方、歴史的な価値があるとして、図書館で管理したり電子化したりする工夫もみられる。

 震災当夜、停電が続く市庁舎内で秘書係長がラジオや消防の情報を書き取ったメモ。避難所詰めの市職員が、引き継ぎ事項や住民の要望を書いたノート。支援物資の受け入れ状況を記した書類つづり……。

 宮城県名取市図書館の倉庫には、段ボール21箱分の震災記録が永年保存されている。震災記録誌をつくるため、2011年末ごろから、市の各部署に呼びかけて集められた行政文書や書類だ。4年前、図書館に移管された。

 「被災直後の人々の生の声が聞こえてくる貴重な一次資料」と柴崎悦子館長。図書館も地震で被災し、18年12月に再建を終えた。今後、整理を進め、研究目的の活用や展示の方法を検討するという。

 同県多賀城市は16年、文書管理規程を見直し、保存年限を過ぎた公文書のうち「歴史的資料として重要」なものは市庁舎地下の文書庫に永年保存することにした。震災が直接のきっかけではなく、国の公文書管理法の趣旨に沿ったものだ。市が定めた「歴史的公文書選定基準」の20番目には、「東日本大震災をはじめ災害対策本部の設置された災害等に関する公文書」も記された。

 通常は新年度とともに、各課が保存年限に達した行政文書を廃棄する。多賀城市では各課が廃棄前に精査し、歴史的公文書と判断したものを総務課に引き継ぐ仕組みだ。16年は680件、17年は1800件余りを指定。特に17年は、震災関連で保存年限5年となっていた文書が多数、廃棄を免れたという。「ぜひ後世に残さなければならない。ただ、公開については場所や予算の制約もある。今後検討したい」と担当者は話す。

 アンケートでは、多賀城市のほか仙台市や女川町、塩釜市の宮城県内4市町が、震災資料の一部または全部を「歴史公文書」とすることを決めたと回答した。公文書管理法では、歴史的に重要な公文書などを「歴史公文書等」として原則永久保存を求め、市町村には努力義務がある。

 ただ、沿岸の小規模自治体は資料の保管スペースを確保できない場合も多い。さらに原発事故の影響で避難している福島県の自治体は、保管場所に悩む。双葉町は同県いわき市など県内外6カ所に役場機能を分散。各事務所は手狭で、6年前に資料保管用に民間倉庫を借りた。帰還困難区域内の本庁舎にあった永年保存の公文書も運び入れたため、将来的なスペースにも不安を抱える。

 一つの解決策がグループでの電子化だ。岩手県では久慈市と野田村、普代村が14年度に「震災アーカイブ」を整備した。省スペース化を目指した久慈市が主導して市庁舎内にサーバーを設置。両村の震災公文書なども含めて計約9万件の資料を電子化し、永年保存した。一部はインターネットで公開している。

 プロジェクトに参加した普代村政策推進室の中村克成・企画調整係長は「村単独では難しかった。連携できたのはありがたい」。

 捨てた資料は元に戻らない。ま…

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