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 旧日本軍731部隊の軍医将校の学位論文がサルではなく人体実験を基にしていた疑いがあるとして、研究者らが学位を与えた京都大に検証を求めた問題で、京大は「実験対象がヒトだと結論付けることはできない」とする調査結果をまとめた。京大はこれ以上の調査はしない方針だという。

 検証を要求した研究者らでつくる「満洲第731部隊軍医将校の学位授与の検証を京大に求める会」(京都市中京区)が1日、明らかにした。

 同会が問題にしているのは、1945年5月に京都帝国大(現・京大)に提出された学位論文「イヌノミのペスト媒介能力ニ就(つい)テ」。実験に使ったサルがペストを発症して頭痛を訴えた、などの記述について不自然さを指摘していた。

 人体実験による論文と確認された場合、学位を取り消すよう同会に要請され、京大は昨年9月に調査を開始。2月8日付の回答で、「サルであることを明確に否定できるほどの科学的合理的理由があるとは言えない」と結論付けた。さらに「実験ノートやデータが存在しない」ことから、今後の調査はしないとした。

 「サルの頭痛を把握するのは不可能ではないか」という同会の指摘に対し、京大は「著者がどのようにサルの『頭痛』を判断したか記載されていないが、何らかの行動指標で頭痛を判断したと推察できる」と主張。「39度以上を5日間持続した」という記述の解明を求められたサルの体温について、「サルでも感染によって体温が39度以上に上昇することはあり得る」とした。

 同会は調査が不十分だとして京大に異議申し立てをし、再調査を求めている。京大内で記者会見した同会共同代表の鰺坂(あじさか)真(まこと)・関西大名誉教授は「731部隊の歴史的な状況を見ていない。調査はおかしくまったく納得できない。責任を追及していく」と語った。

 京大は取材に対し、「コメントできない」としている。(徳永猛城)