スペインの首都マドリード中心部から車で北西に20分。大使館にしては、ずいぶん官庁街から離れたところにその建物はあった。2月下旬、何者かの襲撃を受けた北朝鮮大使館だ。隣は空き地。近くには老人ホーム、1キロほど南にはスペインの情報機関、国家情報局(CNI)がある。
大使館の写真を歩道で撮っていると、近くに待機していたパトカーから警察官が出てきて、身分証明書を見せるよう求められた。警官は私のパスポート番号や自宅住所をメモしつつ、こう言った。「この大使館で事件が起きて以来1週間、ずっとここで警備している。普段は静かな高級住宅地なんだけど」
「事件」が起きたのは、2月…