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 春の遅い北海道でも、「桜餅」は季節を先取りし、厳寒の年明け早々から店頭に並ぶ。そんな中、北海道釧路市の和菓子店「豆の木」は3月3日に限り、関東風の桜餅を販売してきた。実は道内で出回る桜餅は関西風が主流で、釧路市内で関東風を出す店はここだけだ。

 桜餅は関東で生まれたともいわれている。水で溶いた小麦粉を薄くのばして焼き、あんを包んでサクラの葉で巻いた。これが関西に伝わり、砕いたもち米を蒸してあんを包んだものに変化したという。関東風は長命寺桜餅、関西風は道明寺桜餅とも呼ばれる。

 なぜ北海道では関西風が多く出回っているのか、理由ははっきりしない。ただ、江戸時代から大阪と蝦夷地を結んでいた北前船が関西風の桜餅をもたらした、ともいわれている。

 道内のスイーツ事情に詳しく「ほっかいどうお菓子グラフィティー」の著書もある塚田敏信さんは、「桜餅については史料が少ない」と話す。そのうえで、もし両者が伝わっても「開拓時代の北海道には、漁師や農民など力仕事に携わる人が多かった。見た目が上品で食べると物足りない長命寺ではなく、腹持ち感のある道明寺が生き残った可能性がある」と指摘する。

 一方、「豆の木」を営む河内谷清司さん(83)は、出身地の松前町の菓子店で修業していたとき、こんな話を職人から聞いた。「先祖は江戸に住んでいたが、参勤交代の江戸詰を終えて戻る松前藩の一行に付き従い、松前に渡り住み着いた。菓子職人ではなかったが、生活のために江戸ではやっていた長命寺桜餅を作って売り出したのが北海道の桜餅の始まりで、北前船より先だった」

 河内谷さんは30年前に豆の木…

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