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 安倍政権にとって夏の参院選の前哨戦となる衆院大阪12区補選(4月21日投開票)の地元・大阪府寝屋川市長が3日、同日実施の市長選に立候補しない意向を表明した。市長を支えてきた自民党は、後継に府議候補を「スライド」擁立する方針。大阪では府知事と市長を入れ替える「出直しクロス選」が実施される見通しだが、同じ大阪で衆院補選に絡んだ「スライド選」も実施されそうだ。

 不出馬を表明したのは、現市長の北川法夫氏(70)。3日、地元支援者らを集めた同市内での非公開の会合で表明した。これまで立候補する考えを表明していたが、方針を一転した。北川市長は会合後、記者団に「自公政権の安定のため、(大阪12区補選に)全てをかけるべきだと考えた」と述べた。

 なぜ市長選と補選が関係するのか――。同市は大阪12区内にあり、今回の補選は法夫氏の弟である自民の北川知克・元環境副大臣の死去に伴って実施される。自民は法夫氏の次男晋平氏(31)の擁立を決め、「弔い選挙」を掲げている。

 ただ、公明内には補選で立候補を予定している無所属の樽床伸二・元総務相(59)を推す声が根強い。寝屋川市選挙区(定数2)で実施された前回2015年の府議選では、自公の候補が激突。樽床氏の支援を受けた公明候補が接戦を制したためだ。樽床氏は今回の府議選(4月7日投開票)でも公明支援を公言している。

 今回の補選には、大阪に根強い地盤を持つ日本維新の会が藤田文武氏(38)の擁立を決定。維新、自民、樽床氏という三つどもえの構図に現在なっている。公明票が樽床氏に流れれば、自民は苦戦を強いられるという見方が大勢だ。

 昨年9月の沖縄県知事選で自民推薦候補が大差で負けた安倍政権にとって、沖縄3区とともに実施される大阪12区の補選は「負けられない」選挙。自民は府議選を目指して活動中の新顔を空いた市長ポスト候補にスライドさせることで、補選への影響を回避しようという絵を描いた格好だ。市長から見れば、次男の選挙のために自身が身を引くという構図になる。

 大阪では、大阪都構想の是非を問う住民投票の実施時期を巡り、大阪維新の会と公明の対立が激化。維新代表の松井一郎府知事は大阪市の吉村洋文市長(維新政調会長)とともに任期途中で辞職し、統一地方選と同日で知事・市長を入れ替える「出直しクロス選」になる見通しだ。大阪では、「クロス選」に続いて「スライド選」が行われる見通しになった格好で、いずれも公明の動向が焦点となりそうだ。(古田寛也)