【動画】米軍による1945年の短編映画「The Last Bomb」のシーンを編集した=米公文書館所蔵(音声なし)
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日曜に想う 編集委員・福島申二

 先日亡くなったドナルド・キーンさんとともに、故エドワード・サイデンステッカーさん(2007年没)は日本文学に多大な貢献をした研究者だった。この人の名訳なしに川端康成のノーベル文学賞はなかったとさえ言われている。

 東京の下町、谷中(やなか)に古くからの墓地があって、サイデンステッカーさんはよく散策をした。散策するうちに、あることに気づく。「大正十二年九月一日と昭和二十年三月十日に死んだ人々の墓がいかに多いか」と晩年の随筆集「谷中、花と墓地」に書き残している。

 大正の日付は関東大震災、昭和のほうは東京大空襲である。22年の歳月をはさんで東京の下町を炎で包み、ともに言葉に尽くせぬ惨状をもたらした。

 片や天災である。そしてもう一方は戦災だから、二つは異質な災厄だ。しかし米軍は、関東大震災による木造家屋密集地の甚大な火災被害に早くから注目して参考にしたという。その意味において二つの日付には暗いつながりがある。

【動画】街を焼き尽くした焼夷弾とは。アニメーションで解説(音声なし)

 手もとの文献によれば、米軍は日本のヒノキに似た建材を用意し、畳や家具にいたるまで忠実に再現した家屋を建てて長屋街を造った。木材の含水率まで調整したり、雨戸を開け閉めして燃え方の違いを確かめたりして、きわめて周到に焼夷弾(しょういだん)の攻撃実験を行ったという。

 3月10日未明、279機のB…

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