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 帰宅すると、土がついたままの大根が数本、自宅の玄関前に置かれていた。

 「申し訳ないなあ」

 書き置きなど、ない。

 「今度は誰だろう」

 春にはみずみずしい山菜、夏にはナス、秋にはウリ。

 渡貫洋介さん(46)一家がこの集落に移り住んで2年ほどが過ぎたころ、お裾分けが届くようになった。

 しばらくすると届け主がわかるが、礼を言うと決まって「なんちゃじゃあない」と返ってくる。土佐弁で、どうってことない、だ。

 四国山地の中央に位置し、約30世帯が暮らす高知県土佐町平石地区。渡貫さんは2013年に千葉から引っ越してきた。家族は、妻と11カ月~8歳の子ども4人。「笹(ささ)のいえ」と呼ばれる築90年の古民家を改修して、民宿をいとなむ。

 ある秋。消防団の集まりで、渡貫さんは何げなく口にした。「使ってない臼と杵(きね)って、ありませんかね」

 「どやろ」「わっからんなあ」。反応は薄く、会話はすぐに途切れた。

 翌日、日暮れ前に自宅に戻ると、玄関前に50キロはありそうな臼と杵があった。

 臼の側面に名前があった。軽ト…

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