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 中央大学(東京都八王子市)の学生が、全国にある米軍爆撃機の慰霊碑にまつわる話を本にまとめた。約2年前に出版した「日本全国B29慰霊碑物語」の続編。2冊合わせて北は秋田から南は沖縄・石垣にある計31の碑を調べた。その調査を通じて学生たちは「戦争とは何か」を考えた。

 昨年12月に続編を出したのは、松野良一教授のゼミの学生たち。ゼミでは2006年と17年に、青梅市と東村山市にあるB29慰霊碑を取材し、多摩地域のケーブルテレビなどで放映された。その後、「全国にどれくらいのB29に関する慰霊碑があるのか」との疑問から調査、取材した。

 総合政策学部3年の谷井健吾さん(21)は山口県柳井市の「平和の碑」を取材した。1945年7月に旧日本軍の攻撃を受けたB24の墜落地に立つ。乗務員は捕虜として広島市に連行され、ほとんどが原爆で即死した。

 谷井さんは「なぜ敵国の兵士を弔うのか」という疑問を抱いていた。碑建立に携わった人や、被爆死した米兵の親族……。そこで出会ったのが歴史研究家の森重昭さんだった。

 2016年5月にオバマ米大統領(当時)が現職として初めて広島を訪れた際、抱擁した相手だ。「敵国の人間としてではなく、一人の人間として」という森さんの言葉に心を揺さぶられた。「市民同士では敵も味方もないと気付かされた」

 総合政策学部2年の佐藤仁紀さん(20)は、宮崎県沖に墜落したB29の慰霊祭を取材した。印象に残るのは、元特攻隊の男性と、墜落機から唯一生還した米兵との慰霊祭での出会い。「戦後70年以上経て仲良くなる。恨むべきは戦争で、兵士ではないとわかった」

 本は中央大学出版部からで1部300円。問い合わせは同出版部(042・674・2359)へ。(滝口信之)