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 恋や仕事を多く描いてきた女性向けの漫画に、新たな潮流が生まれている。結婚制度への疑問やジェンダー、女性の生き方など幅広い社会問題を取り込み、多様性が花開いている。ステレオタイプから女性を解放しているとも言えそうだ。

 「夫は今夜、恋人と過ごしてる」

 旅行や外食に一緒に出かける仲良し夫婦だけれど、セックスレス。そして夫は妻公認で「婚外恋愛」をしている――。月刊誌モーニング・ツーで連載中の「11(いい)22(ふうふ)」は公認不倫を題材に「恋愛と結婚は両立するか」を問い直す意欲作だ。

 作者の渡辺ペコさんは「恋愛や結婚に幻想を持つのではなく、個人としてどう折り合いをつけていけるのかを考えた。私も少女漫画が大好きで模写もたくさんしたが、『ロマンスで終息』にはついていけないな、という気持ちもあった」と話す。

 近年目立つのは、こうした結婚制度や男女の不平等を問う作品だ。海野つなみ作「逃げるは恥だが役に立つ」も契約結婚を描き、大ヒットした。

 鳥飼茜作「先生の白い噓(うそ)」は女性教師が友人の婚約者から受ける性暴力を中心に男女の性の不平等を描き、話題を集めた。鳥飼さんは「岡崎京子さんや安野モヨコさんは性愛に能動的な女性を描いてきた。自分自身も憧れたし、男性がやってきたことを女性もやる、というみそぎの意味もあったと思う。一方で性愛に能動的なのは『自分の体に価値がある』と思える人、つまり見た目がきれいな人のみに許された態度でもある。『白い噓』ではそう思えない人たちのことも考えたかった」と話す。

 女性向け月刊誌「フィール・ヤング」編集者の梶川恵さんは「ここ5年ぐらいで、男女の不平等やジェンダーに関する作品が読者に響くようになった」と話す。性被害を告発した#MeToo運動や東京医科大の不正入試問題などの影響に加え、「SNSで日々の生活にある『おかしい』が女性たちに自覚・共有されるようになったのも一因ではないか」と指摘する。

 近年の傾向として、梶川さんは「私の尊厳を尊重せよ」「逃げてもいい」「名前のつかない関係性」をキーワードにあげる。

 たとえば、空気の読み過ぎで倒れたOLが、会社をやめて節約生活を送る様子を描いたコナリミサト作「凪(なぎ)のお暇(いとま)」。鶴谷香央理作「メタモルフォーゼの縁側」はボーイズラブ(BL)漫画が好きな老婦人と女子高校生が交流する様子を描き、ヒットした。

 実はフィール・ヤングでは、2013年にそれまで表紙にあった「恋も仕事も!」というキャッチコピーを外した。梶川さんは「作家が描くものが、恋や仕事といった範疇(はんちゅう)にあてはまらなくなってきた」と理由を明かす。恋と仕事がなくても生きられる、というメッセージの漫画も増えたという。

 「女子マンガ研究家」として書…

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