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 福岡県春日市の小児歯科医院で2017年7月、虫歯治療で麻酔を注射された山口叶愛(のあ)ちゃん(当時2)の容体が急変して死亡した事故で、県警は7日、当時の男性院長(53)を業務上過失致死の疑いで書類送検し、発表した。異変について元院長は「治療による疲労だと思った」と話しているという。

 捜査1課によると、叶愛ちゃんは17年7月1日夕、約1時間の虫歯治療で口内の複数箇所に麻酔薬の注射を受けた後、けいれんを起こすなど容体が急変した。しかし、元院長は救急車を呼んだり、薬を投与したりするなどの救命措置を尽くさず、2日後に麻酔中毒による低酸素脳症で死亡させた疑いがある。

 治療後、両親が叶愛ちゃんの異変に気づき、元院長に繰り返し症状を訴えたが、「疲れているのでは。よくあること」と言われたという。叶愛ちゃんは治療から約1時間後、両親に連れられて他の病院で治療を受けたが、意識は戻らなかったという。

 治療は別の歯科医師が担当し、捜査の結果、治療で投与した麻酔の量は適切だったことが判明。だが、麻酔は適量でも容体の異変を引き起こす恐れがあり、元院長が叶愛ちゃんの変化に注意を払って十分な処置をとっていれば、死亡を避けることができた可能性が高いと判断したという。

 昨年8月末に閉院した医院側の代理人弁護士は7日、朝日新聞の取材に「緊急な対応を要する状況ではなく、医院の対応は適切だった」と説明した。

 叶愛ちゃんの父親は「歯の治療に行っただけで亡くなることになってしまい、叶愛には今も申し訳なさと後悔でいっぱいです」と話した。(菅原普)