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 日本経済が「デフレ脱却」をめざした時代、不良債権処理や金融政策の運営などを担った当事者たちに話を聞いた。

アベノミクス「次のハンドリング難しい」 竹中平蔵・東洋大教授

 デフレから長く脱却できなかった最大の理由は、日本銀行にあった。政府と日銀の間で結んだインフレ目標を達成できる日銀総裁として黒田東彦氏が就任し、思い切った政策をとり、少なくとも今はデフレという状況ではなくなった。

 だが、日銀が掲げる「物価上昇率2%」の目標達成にはまだほど遠い。インフレ目標は短期決戦でやらないとうまくいかない。政府も日銀も一丸となれば企業や個人の期待が変わり、一気にデフレから脱却できるというシナリオだった。日銀は役割を果たしたが、規制緩和についていえば、政府は思い切った改革を実現できていない。

 規制緩和が進まないと投資する機会にも恵まれない。世界のライドシェア産業をみると、米ウーバーの企業価値は日本のメガバンクを上回る。中国でも東南アジアでも成長している産業なのに、日本は禁じている。日本で技術的な基盤をつくり、東南アジアに輸出することもできたのに成長する機会を逃した。

 自動運転車も規制があるので公道で十分な実験ができない。外国人観光客ももっと増やせるのに、港湾の規制があってナポリやベネチアのような、しゃれたクルーズシーポートをつくれない。規制が邪魔していることはたくさんある。

 安倍政権を将来振り返ったとき、そのレガシー(遺産)は何だったのかが問われるだろう。中曽根政権は国鉄や電電公社の民営化をした。小泉政権は不良債権処理や郵政民営化を実行した。それに匹敵する安倍政権の改革は、改憲か北方領土返還か、それとも今後の社会保障改革なのか。経済を良くしたという実績をふまえ、次の時代をよくする大きな改革が期待される。

 だが、金融政策の「片肺飛行」が続き、投資機会をつくる政府の努力が十分でないままでは、ここから先のハンドリングは難しいと思う。(談)

     ◇

 〈たけなか・へいぞう〉 慶応大名誉教授。小泉政権で金融相や総務相などを務めた。

「デフレに戻りかねないもろさ残る」 伊藤達也・元金融相

 不良債権問題が金融危機を起こした時代、金融機能は不全に陥った。借金を棒引きする債権放棄を受けた企業が安売りし、デフレを加速させた。その不良債権問題が解決してバランスシートが身軽になった分、企業は将来の成長のために投資できるようになった。

 ところが、少子高齢化が進み、縮小する国内市場の将来性に自信が持てない経営者たちは目の前のキャッシュをため込んだ。経営者が目先の生き残りを図る戦略をとった結果なのではないか。

 ただ、日本経済が長期停滞して…

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