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 夫婦や恋人など親密な関係の中で起きる暴力「ドメスティックバイオレンス(DV)」。千葉県野田市の小4女児が死亡した事件で逮捕された母親も、DVの被害者だった可能性が指摘されている。家庭という密室で起きる暴力を防ぐことはできるのか。20年近く、加害者向けプログラムを実施してきた山口のり子さんに聞いた。

NPO団体「アウェア」代表・山口のり子さん
1950年生まれ。2002年、アウェア開設。18年末に設立された「DV加害者更生教育プログラム全国ネットワーク」の代表も務める。

 ――そもそもDVとは何を指すのでしょう。

 「親密な関係にある相手に力を持ち、支配し続けるために、繰り返し行う虐待行為のことです。相手を威圧する、恥をかかせる、孤立させる、怖がらせる、威嚇する、強制する、脅す、責める、無視する、感情を傷つける、けがをさせる……。身体的な暴力だけでなく、性的、経済的暴力や、心理的攻撃など、あらゆる行為があたります」

 「親密な関係の相手とは、異性間か同性間か、大人か10代の若者かなど、その形態を問いません。婚姻中であろうと、離婚した関係であろうと、同居中でもデート中でも起こりうることです」

 ――加害者はなぜ、DVに走るのですか。

 「DVは『力による支配』です。自分の思い通りに動かすことが目的なので、暴力をふるったり怒鳴ったりすることは手段に過ぎません。あらゆる種類の力の中からその都度、ベストな方法を選択し、繰り返し使うのです。そして『支配する人』と『支配される人』の関係をつくり出します」

 ――「被害者側にも落ち度がある」という人がいます。

 「いいえ。加害者は、暴力をふるうきっかけをいつも探しています。だから被害者は避けようがありません。『お前が暴力をふるわせている』というのも、加害者の決まり文句です。しかし被害者は自分を責め、『私の努力が足りなかった』と思いがちです」

 ――相手の心に入り込んでいくのですね。

 「加害者は相手を見下したり、自分を可哀想に見せて同情や罪悪感を抱かせたりするように仕向け、被害者をコントロールします。卑劣で巧みな論法と話術で会話を牛耳り、わけがわからないうちに『自分が悪いからだ』と相手に思わせます。相手を洗脳して、思考を乗っ取る手口です」

 ――どんな人たちですか。

 「『自分が正しいことを証明するためには大声を出し、相手を黙らせるに限る』『妻をコントロールする責任が私にはある』『殴られても僕についてくる彼女のピュアさを大事にしたい』。アウェアに来る加害者は、こんなことを言います。ゆがんだ価値観を身につけてしまった人たちです」

2017年度に寄せられたDVの被害相談は10万件以上。日本のDV対策には「加害者の更正」という視点が抜け落ちているといいます。DVを減らすにはどうしたらいいのか、解決策を聞きました。

 ――そこまでいくと、病気のよ…

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