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【まとめて読む】患者を生きる・食べる「O157」

 東京都の中学2年生、中村渓さん(14)は、3歳だった2007年に大量の血便が出て救急搬送されました。病名は「溶血性尿毒症症候群」。O157などの腸管出血性大腸菌が出す毒素で起こり、重症化すると死に至ることも。10日ほど前の夕食の焼き肉が原因の可能性がありました。両親は集中治療室で面会した息子に呼びかけ、懸命に回復を祈りました。

赤く染まったシーツ 3歳の息子、集中治療室へ

 東京都の会社員、中村泰幸(やすゆき)さん(54)は、当時3歳だった長男・渓(けい)さん(14)の病室のベッドを見て驚いた。2007年7月29日朝のことだ。シーツが血便で赤く染まっていた。

 その数日前から、食事を受け付けず元気がなかった。病院に行ったが風邪と言われて帰宅。翌朝、妻真智子(まちこ)さん(47)が、渓さんのおむつの便に赤い筋を見つけた。「血便かも」。再び病院に行くと、今度は腸炎の疑いで即日入院となっていた。

 赤く染まったシーツの上でぐったりする渓さんを見て、急いで看護師を呼んだ。小児外科のある杏林大学病院(東京都三鷹市)に救急搬送され、血液検査やCT検査などを受けた。

 「溶血性尿毒症症候群(HUS)」。医療チームの責任医師で小児科医の楊國昌(やんくにまさ)さん(63)が口にしたのは聞いたことのない病名だった。

 原因は「腸管出血性大腸菌(EHEC)」の可能性が高いという。EHECはO(オー)157などが有名だ。汚染されたものを口から摂取すると、数日の潜伏期間を経て、血便がでる「出血性大腸炎」になることがある。その後、菌がつくる毒素により、血小板減少や貧血、急性腎不全などが起こるHUSになる患者もいる。腸に穴が開いたり、毒素が脳に届いたりすると亡くなるケースもある。

 泰幸さんはO157は知っていたが、症状は下痢程度と思っていた。だが渓さんはけいれんを起こし、頭部CT検査で脳にむくみも見つかった。

 思い当たるのは10日前の夕食だった。自宅でホットプレートを使い焼き肉をした。長女を妊娠中だった真智子さんの体調が悪く、渓さんと2人での食事だった。

 泰幸さんがスーパーで買ってきた牛肉に豚肉、レバー、モツ、ジャガイモ、タマネギ。泰幸さんが箸を使って具材をプレートで焼き、その箸で渓さんの皿に取り分けた。いつもは魚介類を好む渓さんが、この日は珍しく、牛肉やモツを欲しがった。

 「10日の間に大きなことがあるかもしれません」。生死に関わるという医師の言葉に泰幸さんは頭が真っ白になった。

10日前の焼き肉が原因? やっと聞けた「パパ」「ママ」

 東京都の会社員、中村泰幸さん(54)の長男渓さん(14)は、3歳だった2007年、大学病院に救急搬送された。診断は腸管出血性大腸菌(EHEC)のO(オー)157による「溶血性尿毒症症候群(HUS)」。10日前に食べた焼き肉が原因の可能性が高かった。

 HUSになると、血小板が減るとともに、貧血になる。また急性腎不全が起こるため尿の出が悪くなる。治療薬はない。渓さんは機能が落ちた腎臓の代わりに、人工透析によって、血液中の老廃物を濾過(ろか)し、体内の電解質のバランスを保つことになった。

 集中治療室(ICU)に入った。透析のために挿入した管を引き抜かないように、薬で意識レベルを下げ、人工呼吸器も装着。点滴から栄養などを補った。

 ICUの面会時間は1日1時間…

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