【動画】子どもたちに野球の楽しさを伝える活動を続ける大野倫さん=安藤嘉浩撮影
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 沖縄の子どもたちに野球の楽しさを知ってもらおうと、沖縄球界のヒーローが立ち上がった。1990、91年夏の全国高校野球選手権大会で連続準優勝に輝いた沖縄水産のエース、大野倫さん(45)。NPO法人を立ち上げ、ボールとバットを持って保育園や小学校を回っている。

 「はーい、みんな、右手でピースしてみよう」。2月下旬、浦添市の保育園。年中の園児約30人に、大野さんがボールの上手な投げ方を教えていた。「そしたら、この赤い線にピースをのせるんだ」

 握り方を伝えたら、左足をあげてみせる。「狙ったところを左手で指す。そこに右手をぶつけるように投げよう」と腕を振る。

 「エイ!」。次々と園児の手から、白いボールが放たれる。うまくできる子もうまくいかない子もいる。「おおっ、いいぞ」「がんばれ」「いいか、ぼくのまねをしてごらん」

 基本を伝えたら、1~9の番号がついたボード板を使って遊ばせる。最後は2チームに分かれて、どちらが早く9枚抜けるかを競う「ストライクアウト」というゲームだ。「ボールやバットを持っていけば子どもたちは遊び始める。ちょっとしたコツを伝え、あとは楽しんでもらえたらいい」

 小学校の体育授業や保育園の外遊び時間を使い、2月だけで約50コマ実施した。野球・ソフトボールの普及を目指す「琉球野球未来プロジェクト」を掲げたNPO法人の認証も今月7日に県から下り、さらに活動を本格化させるという。

 大野さんは90、91年夏の甲子園で沖縄水産の準優勝に貢献。とくに91年は右ひじを痛めながら投げ続け、賛否両論を巻き起こしたことでも知られる。九州共立大で野手に転向し、プロ野球巨人、ダイエーでプレー。2002年オフに引退後は会社員となり、08年に35歳で沖縄に戻った。

 10年に中学硬式野球チーム「うるま東ボーイズ」を設立し、監督として指導する傍ら、野球の普及・啓発活動をしてきた。「プロ野球のキャンプ地でもあるので本土に比べれば野球熱は高いが、それでも野球をする子どもは減っている」と実感する。

 活動を通じて野球の可能性も再確認した。「規律、礼儀、チームワーク。野球には子どもを育む力がある。何より、みんな楽しそうに遊んでくれます」。沖縄の野球関係者の期待も大きい。ある高校監督は「沖縄のヒーローが、再び沖縄の未来のために立ち上がってくれた。みんなで応援したい」と語る。

 「私自身が子どもたちと一緒に成長しながら、沖縄の未来を考えていきたい」と大野さん。沖縄にプロ球団を設立したいという大きな夢もあるという。活動内容はサイト(https://yakyumirairyukyu.ti-da.net/別ウインドウで開きます)で発信している。(編集委員・安藤嘉浩

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