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 中国の王毅(ワンイー)国務委員兼外相が、中国通信機器大手・華為技術(ファーウェイ)の製品を排除しようとする米国の動きに対して「意図的な政治的抑圧」と反発し、妥協はしないという姿勢を鮮明にした。全国人民代表大会(全人代)に合わせて8日に開かれた会見で、内外の記者の質問に答えたもの。ただ、米中関係全体は安定させるべきだとの考えを示し、対米関係に集中するため日本を含む周辺国との関係安定を重んじる姿勢を鮮明にした。

 華為問題について、王氏は会見で「意図的な政治的抑圧だ。我々は中国企業や市民の合法的な権益を断固守る」と述べ、一歩も譲らぬ構えを見せた。

 華為は7日、米政府機関の製品購入を禁じる法律が、米国の憲法違反に当たるとして米政府や関係閣僚を提訴した。王氏は「関係企業や個人が法律を武器に自らの権益を守り、『沈黙する羊』にならないことを支持する」と強調。さらに「正義はいずれ果たされる。我々が守ろうとしているのは企業の権益だけでなく、国家や民族の正当な発展の権利だ。これは科学技術の水準向上を望むあらゆる国家の権利だ」と続けた。

 王氏は、米国以外の国に対しても「各国がルールを守り、偏見を捨て、企業には公平な競争の市場環境を、人々には安全な往来環境を提供するよう希望する」と呼びかけ、米国に同調しないよう求めた。

 華為問題では強く出たが、外交政策全般については脅威論を意識してか、協調姿勢を何度も唱えた。

 米中関係全体についても、今年が国交正常化40年であることを踏まえ、「双方が『不惑』の力を保つことが必要だ」と主張。人権や言論の自由を巡る問題でも「中米関係の歴史には協力と摩擦があるが、我々は最後は協力が対立を上回ると考える。中米を『切り離し』(デカップリング)するという声もあるようだが、中国と離れることはチャンスや未来、世界と切り離されることを意味する」と述べ、冷戦のような対立は時代の流れに逆行するとの認識を示した。

習近平氏訪日の条件

 日中関係については「昨年来、正常な軌道に戻り、改善と発展の勢いがみられる」と評価。大阪で6月に開かれる主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)に合わせて見込まれる習近平(シーチンピン)国家主席の訪日への直接の言及は避けたが、「双方が努力し、安定発展期に入り、各分野の交流が盛んになればハイレベル交流もおのずと実現する」と前向きに語った。

 ただし、王氏はさらなる関係改善には、「知行合一」が必要だと指摘。歴史問題などで、政治家らが言行を一致させるよう求めたとみられる。

 この発言について、中国外交筋は「協力姿勢がいまだにあいまいな、一帯一路(シルクロード経済圏構想)への日本の態度も問うている」と説明する。

ハノイの米朝会談を評価

 また、ハノイで開かれた2回目の米朝首脳会談については「朝鮮半島の核問題における重要な一歩であり、積極的な進展がみられた」と評価。「(米朝が)対話を維持し、方向を変えなければ朝鮮半島の非核化目標は実現する」と語った。北朝鮮問題で中国が果たす役割については、「代わりがきかない」と強調し、「中国は北朝鮮の発展を全力で支持する。中朝が手を結ぶことで問題の解決と平和への道を維持できる」とアピールした。

 王氏は今月下旬に習氏が欧州を訪問する計画も発表。イタリアとフランスが候補に挙がっており、訪欧後、米国に向かいトランプ米大統領と会談するとの見方も出ている。(北京=冨名腰隆)

王毅・国務委員兼外相の発言骨子

○米中関係

「華為問題は必要な措置をとり、権益を守る。貿易問題は互いに尊重し、解決方法を見いだす」

○核問題めぐる米朝会談

「解決のカギは相互不信の呪いを解くことだ」

○日中関係

「日本が中国の発展を客観的に受け止めることで、障害を取りのぞける」

○一帯一路

「世界から歓迎。123カ国と協力文書に署名した」

○ベネズエラ政情不安

「与野党が平和的対話を通じて解決を図るべきだ」

○インド・パキスタン武力衝突

「事態を悪化させない双方の協議を歓迎する」