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 島根県安来市の介護サービスやボランティア支援の総合窓口「市地域包括支援センター」は、市内の若年性認知症の人の実態調査を初めて実施し、結果を公表した。「どこに相談したらいいのか」「同じ病気の人と相談できる場所がほしい」など、孤立した状況も明らかになった。

 若年性認知症は65歳未満で発症する認知症。調査結果は2月27日に同市で開いた認知症講演会で発表された。

 市内の全医療機関21と介護・福祉施設61、鳥取県の米子市と南部町の一部の医療機関計12を対象に、2013年4月1日から昨年3月31日までに支援した記録のある若年性認知症の人の数について調べた。

 診察したことがある医療機関は21%で、支援したことがある介護・福祉施設も21%あった。医療機関では、受診した地域が安来市内は67%、米子市・南部町が33%。診療科目は全体の7割が精神科だった。

 支援したことがある事業所で最多だったのは、入所施設の31%で、通所サービス、居宅支援事業所、包括支援センターが各19%だった。

 医療機関が把握している若年性認知症の人は男性24人、女性9人。そのうち、アルツハイマー型の認知症が61%でもっとも多く、全体の43%が在宅通院だった。また、介護・福祉施設では男性10人、女性9人を把握。アルツハイマー型が58%を占め、在宅通院をしているのは全体の37%だった。

 面談への協力が得られた4人へ聞き取りをしたところ、困ったこととして「どんなサービスがあり、どこに相談したらよいかわからなかった」「仕事で計算などができなくなり退職したため、収入が減った」という声が寄せられたという。

 また、「気軽に立ち寄れる居場所がほしい」「同じ病気の人と相談できる場所がほしい」という要望があった。

 調査した同センターの足立卓久センター長は取材に、「退職を余儀なくされて元気をなくす人も多いが、当事者同士で集まれて相談できる場が必要だと感じている」と話した。

 講演会には、若年性認知症当事者の山田真由美さん(58)=名古屋市西区=を招いてのトークセッションもあった。山田さんは空間認知機能に障害があり、一人では着替えに時間がかかるといった困難さを抱えている。しかし、ちょっとした手助けがあれば、できることはたくさんあるという。「自分の状態を人に話したら、手伝ってもらえて楽になる」と話し、「症状の進行は不安だが、絶対にだれかが助けてくれると思う」と、経験に基づいた実感を明るく語った。(木脇みのり)