敗戦直後に昭和天皇が戦災慰問と産業復興のため全国を訪れた「戦後巡幸」の記録映画上映会「象徴天皇の誕生―昭和天皇の巡幸記録―」が22日、東京都文京区の東京大学で開かれる。貴重な映像フィルムを保管・活用する東大情報学環「記録映画アーカイブ・プロジェクト」の研究上映会の一環だ。

 戦前や戦後の日本社会を記録した貴重な映像フィルムが、映画会社倒産などで引き取り手のないまま劣化しつつあった。危機感を抱いた映画会社OBらが2009年に一般社団法人「記録映画保存センター」を設立し、東大情報学環とともにフィルムの所蔵調査を進め、1万作品以上を東京国立近代美術館フィルムセンターの保存庫に移管。再発見された映画を活用するため、戦後史や高度成長、東京五輪などさまざまなテーマで上映会を開いてきた。

 今回は「天皇退位」を目前に象徴天皇のあり方について考えようと、昭和天皇の戦後巡幸についての上映会を企画した。昭和天皇は1946~54年、沖縄以外の全都道府県を訪れ、産業施設や福祉施設などを訪問。戦争被災者らに声をかけ、「天皇陛下万歳」の歓迎を受け、「現人神(あらひとがみ)」から「人間天皇」に変わった姿を国民に印象づけた。

 昭和天皇による51年の滋賀県と54年の北海道訪問を伝えるニュース映画、富山県の工場を訪れた「栄光―行幸啓の記録」(58年)、アナウンサーが街頭で人々に「象徴天皇」について意見を聞いた「国民の中の天皇」(51年)の計4本を上映。天皇制に詳しい原武史・放送大教授と記録映画保存のプロジェクトを手がけてきた吉見俊哉・東大教授が対談する。

 上映会は22日午後6時から、東大本郷キャンパスのダイワユビキタス学術研究館石橋記念ホールで。参加無料、当日先着順。問い合わせは同センター(03・3222・4249)へ。(編集委員・北野隆一