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 東京電力福島第一原発事故をめぐり、業務上過失致死傷罪で強制起訴された旧経営陣3人の第37回公判が12日午前、東京地裁で始まった。弁護側が最終弁論を行い、改めて巨大津波の予見性を否定して無罪を主張した。最終弁論は午後まで続き、1年8カ月余り続いた公判が結審する。

 起訴されているのは元副社長・武藤栄(68)、元副社長・武黒(たけくろ)一郎(72)、元会長・勝俣恒久(78)の3被告。検察官役の指定弁護士は、いずれも禁錮5年を求刑している。

 最終弁論はまず3人に共通する主張から始まり、弁護人は「予見可能性が認められないことは明らかで、3人は無罪だ」と述べた。具体的には、「3・11以前にマグニチュード9クラスの地震を想定する知見はなかった」と強調。実際の津波は敷地の東側全体から襲来したが、東電の現場レベルが過去の地震に基づいて検討していた対策は主に、敷地の南側を意識したものだったとも指摘した。

 そのうえで、上層部3人の責任について「いかなる方法をとっても結果を回避できたとは言えず、予見可能性を認める余地もない」と述べた。

 指定弁護士は、3人は国の地震予測「長期評価」に基づいて算出した「最大15・7メートル」の津波予測を軽視し、「対策を先送りした」と主張する。弁護側は最終弁論で、「長期評価の根拠には信頼性がない」と改めて反論した。

 起訴状によると、3被告は原発の敷地を超える高さの津波が来る可能性を予測できたのに対策を怠り、11年3月の東日本大震災に伴う原発事故で、避難を余儀なくされた双葉病院(福島県大熊町)の入院患者ら44人を死亡させるなどしたとされる。(阿部峻介)