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 公立福生(ふっさ)病院(東京都福生市)の人工透析治療を巡る問題で、病院側が病状にかかわらず腎臓病患者に透析をしない選択肢を提示していたことがわかった。透析をすれば生き続けられる患者も含まれており、病院側は専門医らの学会の提言から逸脱していることを認識していたとみられる。患者や医療者らから疑問や批判の声があがっている。

 福生病院は福生市と羽村市、瑞穂町でつくる福生病院組合が運営し、2013年4月に「腎臓病総合医療センター」を設置した。関係者によると、そのとき外科と内科の医師2人が入り、腎臓病患者の治療にあたってきた。合併症を抱える患者や、透析用の血液の出入り口(シャント)の手術などを中心に受け持っているという。

 重い腎不全の場合、シャントを使った血液透析、腹膜での透析、腎移植の三つの方法がある。

 都などによると、センターでは、提供者が見つからずに腎移植ができない場合などを含め、医師が受診した患者に対し、病状を問わず透析をしない選択肢も提示。高齢者を中心に約20人が透析を選ばず、複数が死亡したとみられる。これとは別に昨年8月、別の医療機関で透析を受けていた患者の女性(当時44)が受診した際、透析につかっていた管が閉塞(へいそく)していたため、首周辺から管を通す透析や、透析をやめる選択肢を示したところ、女性は透析中止を選び、1週間後に死亡した。その前日に女性が透析再開を求めたとの証言もあるという。透析中止で死亡したのは、女性を含めて4人という。

 透析は患者への負担も大きいが、腎臓に代わって血液中の余分な水分や老廃物などをこしとる治療で、やめれば通常、数日から数週間で死に至るとされる。日本透析医学会は14年にまとめた提言で、透析を中止もしくはしないことを検討できる状況を規定。患者の全身状態が極めて悪いか、透析によって患者の生命を損なう危険性が高い場合に限っている。

 病院は都に対し、女性の病状は提言に合致していなかったと認めている。ほかの患者にも提言に沿わない状態で透析をしない選択肢を示していたとみられる。一方で、女性側に生死に直結する選択だと伝え、ほかの患者からも同意を得たと説明しているという。

 病院は今月8日に出した松山健院長名と管理者の加藤育男・福生市長名のコメントで、女性への対応に問題はなかったと主張。都によると、病院は提言を「厳しすぎる」とし、「透析をしない選択肢も患者には必要だ」との趣旨の説明をしているという。

 今月7日の問題発覚以降、病院は詳しい説明をせず、具体的な主張や患者とのやりとりは不明のままだ。

 福生病院を監督する立場の都は、病院が女性の透析中止の判断をめぐり、学会の提言では第三者も入る倫理委員会による助言が望ましいとされる場合だったのに、諮らなかったとして口頭指導。医師の説明や患者の状態などを調べ、問題があれば是正勧告や指導をする方針。学会も近く病院に立ち入り調査するという。(土居新平、河井健)

■公立福生病院の透析治療をめぐ…

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