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 国土交通省山鳥坂ダム工事事務所は12日、鹿野川ダム(愛媛県大洲市肱川町)で洪水調整のために建設を進めている「トンネル洪水吐(こうずいばき)」の試験放流を実施し、一般公開した。見学を希望した住民ら約300人が放流する様子を見守った。

 同事務所によると、洪水吐はダム湖から水を抜くトンネルで、全長は約458メートル、内径は11・5メートル。水を放流するダムゲートの下部に建設した。現在は物理的にゲートの高さよりダムの水位を下げられないが、完成後は降雨前に水位をより下げられる。同事務所は「ダムの洪水調節容量を約1・4倍に増やすことができ、下流の洪水被害を軽減できる」としている。

 下流の大洲盆地で浸水被害が繰り返されたために、2011年度から本体工事に着手し、雨量が増え始める今年6月中旬ごろまでの運用開始を予定している。昨年7月の西日本豪雨では鹿野川ダム上流で観測史上最大の雨が降り、ダムの緊急放流(異常洪水時防災操作)が行われ、大洲盆地では大きな被害が出た。工事現場も被災し、今年度内予定だった完成が遅れた。総事業費は約487億円。

 この日は水を流してトンネルのゲートの作動などを確認した。放流を見つめていた大洲市の70代女性は「大洲は再三、水につかってきたから(トンネル洪水吐に)関心があった。水害のないまちにしてもらいたい」と話していた。(佐藤英法)