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 権利者の許可なくインターネットに上げられたと知りながら漫画や写真、論文などをダウンロードすることを違法とする著作権法改正案について、自民党は13日、目指していた開会中の通常国会への提出を見送る方針を決めた。文部科学部会と知的財産戦略調査会の幹部が同日朝の会合で、関係者の理解が十分に得られていないとして文化庁に再検討を指示。改めて臨時国会への法案提出を目指すよう求めた。いったん法案提出を了承した部会と調査会が一転して判断を変える異例の展開となった。

 赤池誠章部会長は会合後、記者団に「利害関係者である漫画家をはじめとする著作権者、そしてインターネットを利用する一般国民ユーザー双方から、現在に至っても、不安、懸念の払拭(ふっしょく)に至っていない。不安が不安を呼んでいるという悪循環が起きている」と説明。「不安、懸念を払拭すべく丁寧な手続きを進め、次期国会に向けて仕切り直しをすべきだ」と話した。改正案には、海賊版サイトに誘導する「リーチサイト」規制も盛り込まれていたが、同時に見送られる。

 2月に法案提出を了承したにもかかわらず、改めて見送りを決めた理由について、赤池氏は「関係者の同意を得た上で(党部会による)事前審査にかかったものと認識していた」と説明。政府が通常国会に法案を提出するためには週内に党内で合意する必要があり、「不安、懸念の払拭をはかるための時間が残されておらず、時間切れとなってしまった」と述べた。

 通常国会への提出を急ぐあまり法案が拙速に作られたことも認め、「文化庁も反省していた」「情勢の変化や国民の理解を受けて、立ち止まって努力するというのは、自民党らしいところだ」と強調した。

 法案をめぐっては、個人の知的な活動の基盤となるネット上の情報収集が萎縮するとの懸念が根強く、著作権法の専門家や約1600人の漫画家らが加入する日本漫画家協会などが「権利者の利益が不当に害される場合」などのダウンロードに限って違法とするよう修正を求めてきた。

 党内にも同調する声があったほか、MANGA(漫画)議連会長の古屋圭司元国家公安委員長は通常国会への提出見送りを主張。文化庁の提案通りの隙間ない海賊版対策を支持する甘利明・党知財戦略調査会長らと意見が分かれていた。

 法改正の議論が始まったきっかけは漫画の海賊版サイトによる深刻な被害だった。古屋氏は13日の会合後、記者団に「一番の権利者である漫画家協会が懸念を示していたのが大きかった」と話した。(上田真由美、加藤勇介、豊岡亮)

【動画】通常国会提出見送りが決まった政府方針とは。1分動画で解説