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 瀬戸内海の春の風物詩、イカナゴの新子(稚魚)が取れなくなっている。関連性が指摘されるのが海の「栄養不足」だ。国内有数の漁獲量を誇る兵庫県では、今年度から海に栄養を送り込む取り組みを始めている。

 大阪湾と播磨灘の漁解禁日だった今月5日、兵庫県明石市の林崎漁港で、水揚げされたばかりのイカナゴに仲買人たちが値札を入れた。初競りの1籠(25キロ)あたりの値段は6万7600円。昨年より約2万円高かった。イカナゴを扱って40年近い仲買業の佐伯元和さん(60)は「20年前の10倍。こんなに高くてはどうにもならない」と嘆く。漁協関係者は「今年も取れないのではという不安感が値をつり上げている」と言う。

 不安は的中し、大阪湾での漁はわずか3日後に打ち切られた。来年以降の資源を保護するためだ。播磨灘も25日に漁を終えた。期間は昨年より6日短い21日間だった。

 この20年ほどの間に豊漁だったとされる2001年に3万214トンを記録した兵庫県のイカナゴの漁獲量は、一昨年に30分の1の1001トンに、昨年も1621トンまで激減した。

 県立水産技術センター(同市)はその原因として、海中に溶け込む栄養塩(窒素やリンなどの栄養分)との関係に着目する。反田実・技術参与は「栄養分が減ったことで餌になるプランクトンが少なくなっている。とりわけ窒素不足が著しい」と説明する。

 海水温の上昇に弱いイカナゴは、7月ごろから海底の砂に潜り約5カ月間の「夏眠(かみん)」に入る。12月に目覚め、成長して産卵する。夏眠中は餌を食べないので、その前に十分プランクトンをとる必要があるが、センターによると、過去10年の調査で夏眠前の肥満度が徐々に低下していることが分かったという。

 瀬戸内海の栄養塩不足は、皮肉にも海の水質改善が進んだことにある。1960~70年代、高度経済成長期に工場排水などによる水質汚染に見舞われた。そのため、国は73年、瀬戸内海環境保全特別措置法(瀬戸内法)を制定。93年からは富栄養化の指標となる窒素、リンの排水濃度規制も始めた。

 播磨灘のリンは97年度、窒素は2000年度に環境基準を達成。その後、規制がさらに厳しい総量規制も始まり、今では透明度がかなり高い海域もある。

 そこで、イカナゴなどの漁獲量減少に危機感を抱く兵庫県は今年度から、播磨灘沿岸の3カ所の下水処理場で冬場(11~4月)に窒素濃度の高い処理水を海に流す「季節別運転」を始めた。シミュレーションでは、30年間この運転を続けても環境基準は維持できるとしている。

 期間中は窒素の最大濃度をこれ…

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