なぜ毒を塗った? 供述調書を入手

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 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の兄、金正男(キム・ジョンナム)氏を殺害したとして、ベトナム人のドアン・ティ・フォン被告(30)が逮捕されてから2年が経ちました。異国の拘置施設に収容された彼女は、一貫して無実を訴えています。何をきっかけに北朝鮮の工作員と知り合い、なぜ正男氏に毒を塗ったのでしょうか。取材で入手した供述調書には、8時間を超える取り調べの中で彼女が明かした、生々しい事件のてんまつがつづられていました。

     ◇

 事件は2017年2月13日朝、マレーシアのクアラルンプール国際空港で起きた。空港の監視カメラには、フォンが正男氏の顔に何かを塗りつける様子が写っていた。正男氏はその約2時間後に死亡が確認され、フォンは2日後の2月15日、殺人容疑で逮捕された。

「ミスターY」と名乗った男

 ――逮捕直後から警察署で取り調べが始まった。朝日新聞が司法関係者から入手した供述調書の中で、フォンは捜査当局から職業を問われると「女優です」と回答。事件前に舞い込んだ、ある撮影の仕事について、次のように述懐している。

 <2016年12月初旬の正午ごろだったと記憶しています。かつてレストランで一緒に働いたことがあるベトナム人の女友達から電話がありました。女友達は「いたずら番組を手がけている韓国の撮影会社の仕事に興味ある?」「よくユーチューブに流れているやつ。撮影会社の男性がいるから、こっちに来て話してみたら?」と誘ってきました。私は「オッケー、後で行くわ」と応じました。

 約2時間後、待ち合わせの場所に行きました。女友達は男性と座って待っていました。男性はビールを飲んでいて、「ミスターYと呼んでくれ」とベトナム語で自己紹介しました。「どうして、そんなに上手にベトナム語が話せるの?」と聞くと、ミスターYは両親がベトナム人と韓国人なのだと言いました。

 ミスターYによると、会社は小さいものの、韓国メディアの仕事を請け負っているということでした。「月いくらほしい?」「いくらでも希望を言っていい」と聞いてきましたので、私は月1千ドルほしいと伝えました。握手をして、携帯電話の番号を交換しました>

りゅうちょうなベトナム語

 ――初対面ながら、フォンはミスターYに好感を抱いたようだ。外見や人柄について、次のように語っている。

 <ミスターYは30代後半で、身長は182センチほどでした。ベトナム語の読み書きは完璧でした。古いモデルのシルバーの携帯電話を使っていました。長袖の白いTシャツを着て、黒い長ズボンと黒い靴という会社員風の服装でした。黒髪を左から右にクシでとかし、ヒゲをきれいにそっていました。ハンサムというわけではありませんでした。小さな目に縁なしの四角い眼鏡をしていて、瞳は薄い茶色でした。胸は軍人のようにたくましく、右利き。腕には血管が浮き出ていて、左手に腕時計をしていました。まじめな印象でした>

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