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 さらば「痛勤」――。数百円の追加料金を払えば通勤時間帯も座って乗車できる「有料着席サービス」に、鉄道各社が力を入れている。混雑緩和が足踏みする中、各社は最新型車両を投入するなど、快適さを競い合う。

 火曜日の午後8時前、京王電鉄新宿駅。地下ホームの3番線に準特急、2番線に全席指定「京王ライナー」と、どちらも京王八王子行きの電車が並んだ。準特急はドアが開くや否や、つり革の空きもなくなる混雑ぶり。一方、追加料金400円のライナーは立ち客ゼロで、パソコンを開いたり菓子をつまんだり、「痛勤」とは無縁の風景だ。

 北野駅(東京都八王子市)まで乗るという女性会社員(39)は「週3、4回は利用する。定期とは別に400円は自腹になってしまうけど、ゆったり座って帰れる快適さには代えられない」と話す。

 京王ライナーは2018年2月、夜間の下り電車として登場。平均乗車率が8割と好調だったことから、今年2月から新たに朝の上り4本を走らせ始めた。京王電鉄は「ダイヤに余裕がないピーク時を避けたため、新宿着は午前7時までか9時過ぎとなってしまうが、満席となる列車もある」と話す。

 西武鉄道は、17年に所沢駅(埼玉県所沢市)と東京メトロ豊洲駅を乗り換えなしで結ぶ「Sトレイン」、18年には西武新宿―拝島駅(東京都昭島市)間に「拝島ライナー」の運行を開始。今年3月には、約25年ぶりに開発した新型特急車両「Laview(ラビュー)」を、デビューと同時に平日のラッシュ時間帯に西武池袋駅を発着する特急として走らせ始めた。西武の特急は秩父方面への観光輸送の主役だが、同社は「設計段階から通勤利用にも配慮している。ソファのような座り心地のシートや女性専用トイレなどは快適な通勤にも役立つ」と話す。

先駆けはロマンスカー、半世紀の歴史

 座れる通勤電車は、実は半世紀以上の歴史を持つ。先駆けとされるのが小田急電鉄の「ロマンスカー」だ。1967年、夕方に相模大野(相模原市)の車両基地に帰る下り回送列車を活用し、特急券を買えば定期券でも利用できるようにしたところ、通勤客に大好評となった。

 最近では、東武鉄道が2008年、通常の通勤電車としても使える車両を利用して東上線に「TJライナー」を投入したのをきっかけに、各社間でブームが再燃した。

 日本民営鉄道協会によると、18年10月現在で全国の大手私鉄16社のうち、10社が有料着席サービスを導入。東京圏では、同年12月に東急が新たに加わったことで、他社が乗り入れる東京メトロを含め、都心に乗り入れる全私鉄のサービスが出そろった。

 背景には、混雑緩和が足踏みし、「痛勤」が解消されない現状がある。国土交通省によると、1975年度に221%だった東京圏の主要区間の混雑率は、2009年度に167%まで改善。ところが、その後はほぼ横ばいで、17年度は163%だった。追加料金を払っても座って通勤したいというニーズは根強く、各社にとって収益拡大のチャンスとなっている。

 サービスは沿線ブランドに影響している。首都圏の大手私鉄幹部は「沿線の不動産広告をみると、都心までの所要時間に加え、通勤ライナーの停車駅とのアピールが目立つようになった。速度向上や本数増加には多額の設備投資が必要だが、車両だけで実現できる着席サービスは取り組みやすい」と話す。

■回転シートで「1台…

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