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 家族を失った人たちが持つ悲嘆や哀惜などの感情を指す「グリーフ」。自死が原因でこの問題を抱える子どもに寄り添おうと、NPO法人の設立を目指す準備が茨城県内で進んでいる。スタッフの養成講座が16、17の両日に水戸市であり、参加者を募っている。

16・17日聞き役ボランティア養成へ講座

 NPO設立を計画しているのは、防衛医科大学校教授で看護師の高橋聡美さん(51)。自死で親やきょうだいを亡くした子どものグリーフケアを、約10年前に始めた。全国で初めて遺児を対象にした団体を仙台市で立ち上げ、その後も各地で設立支援をしている。

 グリーフケアは約20年前から注目されるようになり、全国自死遺族連絡会によると、全国には約50の自助グループがある。ただ、多くの団体が対象にしているのは大人。自分の子どもやパートナーを亡くしたケースがほとんどという。

 互いに体験を語るなどして支え合える大人に対し、子どもは自分で問題を説明することが難しい。周囲が気がつかないまま心に負担がかかり、精神科の受診が必要になるケースも少なくない。高橋さんは「特に幼い子は(自死を)分かっていないだろうと、置き去りにされている」と話す。

 高橋さんによると、米国では肉親を失った子どもの心をケアする施設が500以上あるが、国内では準備中を含め30団体程度。活動頻度の差も大きい。北関東は空白区だ。高橋さんらは新年度中に県央地域にNPOを設立し、自死遺児ケアの拠点とする予定だ。

 設立のカギは「ファシリテーター」の確保だ。子どものグリーフケアの中心は「遊び」で、ファシリテーターと呼ばれる大人が付き添うが、指示をしたり話を聞き出したりはしない。一緒に過ごすことで子どもの心を解きほぐしていく。

 ファシリテーターはボランティアで、看護師やカウンセラーといった資格は必要ない。ただ、「相手の話に耳を傾けることが不可欠」で、高橋さんがかかわる団体では適性をみるためにも養成講座の受講を義務づけている。

 県内での養成講座は、水戸市泉町2丁目の中央ビルで16、17の両日に予定。16日は高橋さんや自死遺族の講演などの公開講座(資料代500円)、17日は実際のグリーフプログラムの体験実習(一般6千円、学生3千円)。問い合わせは高橋さん(satomiit114@gmail.com)へ。(重政紀元)