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 特殊なウイルスを仕込んだ昆虫を放ち、農作物に感染させて遺伝子を改変する――。米国防高等研究計画局(DARPA)が始めたこんな研究プログラムに対し、欧州の科学者から「生物兵器開発ではないか」と疑問視する声が上がっている。

 DARPAは、研究プログラムを「昆虫の同盟者たち」と命名。農作物に病原体が広がるなどして生産が危機に陥った際、大量の昆虫を介した遺伝子操作を施して、悪影響を抑える安全保障上の防衛目的の研究だと強調している。不測の事態に備えて、ウイルスを媒介する昆虫の寿命を短くするなど安全対策にも万全を期していると主張している。

 科学者たちは、米科学誌サイエンスに発表した論文で、ウイルスなどを攻撃目的で運搬する「昆虫兵器」にもなりうると指摘。農作物を守るには「昆虫を使わず、農薬散布装置の使用ですむ」などと皮肉った。

 これに対し、DARPAは、「次世代の空中散布技術になど出資しない。産業界などの役割だ」と反論。既存の枠を超えた、革新的な技術を追求する自らの存在意義を訴えた。(松尾一郎)