[PR]

 深刻な砂漠化に悩まされてきた中国では、さらなる砂漠化を止めようと緑化事業を進めてきた。そのモデルケースとなっている内モンゴル自治区のクブチ砂漠を訪ねた。

 包頭市から車で1時間ほど走ると砂漠が見えてきた。背丈1メートルほどの木々が車道沿いに等間隔で植えられている。砂丘の斜面には網目状に植えられた植物の姿もあった。

 クブチ砂漠は総面積1万8600平方キロメートル。中国で7番目に大きい。北京から西に約800キロに位置し、首都に最も近い砂漠でもある。1980年代に温暖化や過密な放牧が原因で砂漠が広がり、黄砂の被害も深刻になってきたため、政府や企業が緑化事業を本格化させた。

 国連環境計画の報告書によると、同砂漠では約30年間に5千平方キロメートル以上の緑化に成功したとされる。砂漠近くに住む男性は「以前は一面砂漠だったが、今は緑が増えた」と喜ぶ。

 一方、大規模な植林で地下水の枯渇を心配する声も聞かれた。砂漠の周りで羊を飼う男性は「以前は20~30メートル掘れば水があった場所でも今では更に深く掘らないと水が出ない」。

 中国林業科学研究院砂漠化研究所の楊文斌研究員は「以前は高密度で植林したため大量の水を必要とし、河川や地下水への影響が懸念されたが、植林技術の発展で問題は解決できそうだ」と話した。

 クブチ砂漠の緑化には長年、日本から関わっている人々がいる。

 2004年に亡くなった遠山正瑛・鳥取大名誉教授は「日本沙漠緑化実践協会」を1991年に設立。亡くなる直前までクブチ砂漠を中心に中国の砂漠緑化に尽力した。これまでに延べ1万3千人のボランティアが関わり、430万本以上の苗木を植え、遠山さんの遺志は今も受け継がれている。

 砂漠化への対応は世界的な課題だ。国土の約4分の1が砂漠と言われる中国での取り組みが注目される。(機動特派員・竹花徹朗