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 がん治療で必要な「病理診断」について、福島県立医大付属病院(福島市)を中心とした県内7病院が遠隔診断ネットワークで結ばれ、胃がんに限っては人工知能(AI)を使った病理診断支援システムを全国で初めて導入する。県立医大などが15日発表した。病理医が不足する中、診療の質やスピードの維持を目指す。

 7病院は県立医大付属病院のほか、福島赤十字病院(福島市)と太田西ノ内病院(郡山市)、星総合病院(郡山市)、総合南東北病院(郡山市)、県立医大会津医療センター(会津若松市)、竹田綜合病院(会津若松市)。

 県内で唯一複数の病理医が働く県立医大付属病院を中心に、7病院を情報回線でつなぐ「県遠隔病理診断ネットワーク」をつくった。病院間で患者情報を共有し、画像や音声を通して医師同士が意見交換して、病理医の不在時でも別の病院の病理医が診断できる。

 診断の質や速さの向上が期待され、ベテラン病理医との仕事を通して、若い病理医のスキルアップにもつながるという。

 さらにネットワークでは、日本病理学会が昨年開発したAIを使った胃がんの病理診断支援システムを導入し、25日から実証実験を始める。AIの判断を参考に診断することで、医師が仕事の負担を軽減できるほか、県内の病理情報と診断情報も蓄積させ、AIの精度も向上させる。

 実証実験は当面、2021年3月まで続ける予定だが、実験後もネットワークを保ち、参加する医療機関も増やしていくという。

 日本病理学会の北川昌伸理事長は「福島県は特に病理医が少なく、大きな効果が期待できる」と話した。県内で有効性が確認できれば、全国に展開するという。

 県内は病理医の不足が深刻で、昨年の調査で人口10万人あたり1・27人(全国平均1・96人)、平均年齢は60・6歳(同56・3歳)と共にワースト2位。県立医大病理病態診断学講座の橋本優子教授は「事業を通じて診断態勢を守り、安心して近くの病院を受診してもらえるようにしたい」と話した。(奥村輝)

 病理診断 患者の体からとった組織や細胞から作った標本の観察を通して、病気を判断する診断。がんの場合は診断を確定させ、治療方針を決めるために、必要とされている。この診断を専門に行う医師を病理医と呼ぶ。