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 熊本県北部の県立高校に通っていた3年生の女子生徒(当時17)が昨年5月、いじめをうかがわせる遺書を残して自殺した問題で、学校側が女子生徒の写真を一枚も載せずに卒業アルバムを作っていたことがわかった。遺族の意向を事前に確認できていなかったという。

 完成後に知らされた遺族は掲載を求め、学校はすべての卒業アルバムに女子生徒の写真を貼り、配布した。

 学校によると、アルバムには例年、卒業生の顔写真や、修学旅行など学校行事の様子を撮った写真を掲載している。だが、今年のアルバムには、女子生徒の個人写真を載せず、学校行事などの写真も女子生徒が写っていないものを選んだという。

 遺族によると、教頭と担任が2月18日、自宅を訪れ、できあがったアルバムに女子生徒の写真が載っていないことを伝えられた。学校からはそれ以前にも面会の申し込みがあったが実現せず、掲載を望むかどうかの確認はされていなかったという。

 遺族は「写真を載せてほしい」と学校側に要望。学校は、女子生徒の顔写真や学校行事、部活動に参加している写真を用意し、卒業アルバムの空いているページに両面テープで貼り付けた。3月1日の卒業式では、女子生徒の写真があるアルバムを卒業生に配ったという。

 女子生徒の母親は「娘が生きて高校に通っていた証しや、自殺につながった事実もなかったことにされてしまったようでショックだった」と振り返る。事前に協議ができなかったことについては、「面会だけでなくメールなどの手段もあったのでは。後から写真を貼り付けただけのアルバムになってしまい、残念です」と話した。

 高校の教頭は「女子生徒の写真が外部に流出してしまうことを心配した。事前にご遺族に会おうとしたが、タイミングが合わなかった。事前に意向を確認するべきだった」と話した。遺族には謝罪したという。

 女子生徒は昨年5月、同級生から「よう学校に来られるね」「死ねばいいのに」などの暴言を浴びせられ、「誤解なのに」「もう死にたい」などと書かれた遺書を残して自宅で命を絶った。県教育委員会は6月から、付属機関の「県いじめ防止対策審議会」でいじめの有無などを調べており、今月26日に最終報告書を県教育長に答申する予定。(池上桃子)

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 いじめ問題に取り組むNPO法人・ジェントルハートプロジェクト(川崎市)理事の小森美登里さんは、「時間がないことを言い訳にせず、『一緒に過ごした仲間としてアルバムに載せてもよいか』と一言、確認すればよかった」と指摘する。

 教育評論家の武田さち子さんは「卒業式や成人式などの節目は、遺族にとってもつらい時期」と言う。「亡くなった子を最初からいなかったように扱うのは、遺族の悲しみに追い打ちをかけることになると思う」