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 「さあ、準備はよろしいですか? 私、稲垣吾郎と一緒に参りましょう」

 俳優の稲垣吾郎さんが、4月から東京・上野の東京都美術館で始まる「クリムト展 ウィーンと日本1900」(朝日新聞社など主催)の音声ガイドを担当する。日本国内では過去最多となるクリムトの油彩画を紹介する展覧会で、画業の全貌(ぜんぼう)を味わう旅にいざなわれる。

 3月中旬、稲垣さんは東京都内のスタジオに入ると、原稿をゆっくりと目で追いながら、詩を朗読するような穏やかに流れる声で語り始めた。作品の印象に合わせて抑揚を付け、イントネーションを細かく調整。「僕の姿をイメージしながら聞いてくださる方もいると思うので、個性を生かしながら、きっちりと話すことも心がけました」

 本展に出品される作品はもちろん、関連するエピソードなど計20点の解説を収録した。

 ナレーションの仕事は経験豊富だが、展覧会の音声ガイドは初めてという稲垣さん。本展のスペシャルサポーターに就任し、「美術館に行くのが好きで、音声ガイドを借りることがあるので、一度はやってみたい仕事のひとつでした」と話す。

 クリムトの印象について、「彼は『生と死』、生きる喜びと死のもの悲しさをテーマにした。大学の天井画は伝統を無視して批判を浴び、女性を対象にした表現は、当時タブーな面もあったと思います。激変する世紀末のウィーンで、自分の価値観で時代を切り開いたアーティストなんだなと思います」と話す。

 画風にも興味を抱いたと言い、「クリムトは金箔(きんぱく)を使うイメージを強くもっていました。でも、印象派のようなふわっとした、少し暗い、心地よいタッチの肖像画もあって好きです。風景画もとても美しいと思いました。着物の模様や七宝焼など日本の影響を受けていて、浮世絵の構図も使われている。すごく面白い」。

 稲垣さんは、舞台「No.9―不滅の旋律―」でベートーベン役を演じた縁で、昨年ウィーンを訪れた。オフの時間に、ベルベデーレ宮オーストリア絵画館などを訪れ、クリムトの作品を鑑賞。現地の料理やワインを味わい、早朝の散歩で景色を楽しんだという。音声ガイドでは、その思い出を語るスペシャルトラックを聞くこともできる。

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 「クリムト展 ウィーンと日本1900」は4月23日から7月10日まで、東京・上野の東京都美術館で。ハローダイヤル03・5777・8600。5月7、20、27日、6月3、17日、7月1日は休み。

 7月23日~10月14日は、愛知・豊田市美術館に巡回する。

 クリムト展の公式サイトは(https://klimt2019.jp/別ウインドウで開きます)。(森本未紀)