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 家畜伝染病・豚(とん)コレラの拡大を防ごうと、野生イノシシにワクチンを与える日本初の試みが動き出した。えさに仕込んで山中に埋め、鼻で掘り起こすイノシシの習性を利用してワクチンを食べさせる狙いだ。だが、えさの味はトウモロコシベースの「欧州仕様」。米ぬかに親しむ日本のイノシシの胃袋をつかめるかどうかが、成否の鍵を握る。

 「作戦」の舞台は、豚コレラウイルスが広まっているとみられる岐阜、愛知両県の山中だ。24日から数日かけて、最大で約4万個をまく計画。他の動物に食べられないように深さ10~15センチの穴を掘り、3~4個ずつ入れる。まとめて埋めると群れで有力なイノシシが独占しかねないため、約1万個の穴が必要になるという。

 ワクチンは5日間ほどしかもたず、食べたかどうかの確認のためにも回収する必要がある。小枝を地面に刺すなどして目印を付けながらの作業となる。

 岐阜県では18日から、地元猟友会が穴を掘り、まずはえさだけをまいてきた。「ここに来れば、おいしいものが食べられる」とイノシシに知ってもらうための餌付けだ。

 今回使われているのは、ドイツ製のえさ型ワクチンだ。甘い香りを発する、クッキーのような縦横4センチの固形物で、ココナツ油などを含むトウモロコシ粉の皮でワクチンを包んでいる。

 両県で研修にあたった、製造元のエイドリアン・フォス博士(56)によると、使用実績があるドイツなどではトウモロコシはイノシシになじみが深い。狩猟の際、おびき寄せるえさ場でも使うという。

 ただし、今回の地域のイノシシにとって、トウモロコシは未知とみられる。岐阜県の猟師によると、日頃わなで使っているのは米ぬか。そこで猟師らは今回、山を毎日訪れて、米ぬかとトウモロコシなどを混ぜたえさを散布。約1週間で徐々にトウモロコシの比率を上げてきた。

 県の担当者は「トウモロコシ入りのえさを食べてくれた場所もあった」と胸をなで下ろすが、県中南部の70代の猟師は担当した場所について、「小鳥がついばんだ跡があったくらいでシシ様は食べなかった」と語る。「トウモロコシが気に入らないのか、消毒液の臭いがする長靴で毎日立ち入るから警戒されているのか。シシ様は賢い」

 春の訪れも不安材料だ。猟師も県職員も「ライバルはタケノコ」と話す。イノシシは地表に芽が出る前の軟らかいタケノコを上手に探って食べるといい、その時期は迫っている。食材が周囲にあふれれば、見向きもされない恐れがある。

 それでも生産者らは対策に期待…

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