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 「列車の警笛、踏切の遮断機の音。懐かしい音が街に戻ってきた」

 岩手県山田町で文房具店を営む松本龍児さん(67)は、陸中山田駅近くの自宅兼店舗で、三陸鉄道リアス線の訓練運転の音に8年ぶりの鉄路復活を実感している。

 2011年3月11日。自宅から車で避難場所の小学校に逃げた。国道45号沿いの電柱が津波で倒れるのを見た。夜になると爆発音が聞こえ、空が赤く染まった。翌朝家に戻ると、焼けていた。駅も鉄骨を残して焼け落ちていた。

 5月の連休後には、近くにあった母親の家の空き地にプレハブ小屋を建て、仕事を再開した。JR山田線は止まったまま。代わりの足となった路線バスは毎日、通学の高校生でいっぱいになり、雨の日は乗り切れない生徒もいた。車で送り迎えする親の姿を見た。

 「鉄道は街の背骨のようなもの。なくなれば他の地域との接点もなくなる」。そんな危機感から「鉄道復活・山田町民の会」をつくった。代表として仮設住宅を回り、署名を集めた。

 2014年末に三陸鉄道への経営移管が決まったときはうれしかった。ただ、三鉄も赤字続きだ。「多くの人が使わないと存続できなくなる」。今は宮古市や釜石市など沿線4市町の住民らでつくる「地方ローカル線を守る市町民の会」に加わり、利用促進策を探っている。山田町ではリアス線を利用した買い物客にポイントを加算する案などを検討中だ。松本さんは「三鉄と地域の両方に利益がでるようなものを一緒につくっていきたい」と話す。

 運転再開を喜ぶのは、沿線の高校も同様だ。23日に開通する宮古―釜石間を通学に使う可能性のある沿岸の高校は、山田高校や大槌高校など9校ある。

 宮古駅から徒歩5分の宮古高校は、今年度の生徒約600人のうち、山田町から通う生徒が約100人いた。新年度も同程度を見込むが、今度はリアス線が使える。

 三鉄は生徒たちの登下校や部活動に合わせたダイヤを組んだ。宮古駅から釜石方面へは午後4時から午後8時の間に3本が走る。池田明宏副校長は「バスだけより、生徒の利便性が高まる」と話す。

 鉄道再開は、外から人を呼び込む契機にもなる。

 釜石市の鵜住居駅の近くには津…

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