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 滋賀県東近江市の湖東(ことう)記念病院で2003年、入院患者の人工呼吸器を外して殺害したとして、殺人罪で懲役12年の判決が確定し、刑期を終えた元看護助手・西山美香さん(39)の再審開始が確定した。最高裁第二小法廷(菅野博之裁判長)が18日付の決定で、病死の可能性を指摘して再審請求を認めた大阪高裁の判断を支持し、検察側の特別抗告を棄却した。今後、やり直しの裁判が開かれることになり、無罪となる公算が大きい。

 病院では03年5月、慢性呼吸不全で入院していた男性(当時72)が死亡した。西山さんは翌年、警察の任意聴取に「呼吸器を外した」と認めて殺人容疑で逮捕、起訴されたが、裁判では「取調官に強制、誘導された」と無罪を主張した。

 05年の一審・大津地裁判決は、西山さんが呼吸器を外し、急性の低酸素状態に陥らせて殺害したと認定し、懲役12年を言い渡した。自白についても「極めて高い自発性が認められ、内容も具体的だ」と信用性を認めた。大阪高裁、最高裁もこの判決を支持して07年に確定し、西山さんは17年に満期出所した。

 弁護側は受刑中だった12年、2回目の再審を請求。自白通りなら呼吸器が外れていたのは最長3分になるが、「3分では心停止に至らない」とする医師の意見書などを新証拠として提出した。大津地裁決定はこうした見解を採用せず、請求を棄却した。

 一方、大阪高裁は17年の決定で、解剖時の血液データなどから、不整脈で自然死した可能性を認めた。自白の目まぐるしい変遷も問題視し、「警察官、検察官の誘導があり、迎合して供述した可能性がある」と指摘。西山さんが犯人であると認めるには「合理的な疑いが残る」と結論づけた。

 再審開始を認めた第二小法廷の決定は、裁判官3人が全員一致した意見。三浦守裁判官は大阪高裁決定を不服として、特別抗告した当時の大阪高検検事長だったため、審理に加わらなかった。(岡本玄)

弁護団長「当然の結果だが、検察官に憤り」

 弁護団長の井戸謙一弁護士は「当然の結果。(大阪高裁の再審開始決定から)確定まで1年3カ月も待っていたので、ほっとした気持ちもあるが、最高裁に特別抗告して、確定まで時間がかかるようにした検察官に憤りも感じている。再審公判では無罪が認められるよう主張していく」と話した。

西山さん「めっちゃうれしい」

 西山美香さんは午後0時45分ごろ、滋賀県彦根市の自宅で最高裁からの通知を受け取り、「めっちゃうれしい」と笑顔を見せた。両親には電話で報告し、「やっとか」と喜んでもらったという。「亡くなった祖母2人にも報告したいので、お墓参りに行こうと思います」と話した。(大野宏)