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きょうも傍聴席にいます。

 「コード・ブルー」

 病院の診察室で、患者の男によって首を包丁で突き刺された40代の男性医師は、傷口を手で押さえながら看護師にこう告げた。自ら止血処置し、奇跡的に一命を取り留めたが、今も心的外傷後ストレス障害(PTSD)に苦しみ、患者と向き合えない日々が続く。同僚からの信頼も厚かった外科医は、なぜ襲われたのか。

 2019年2月25日、名古屋地裁の法廷に丸刈りの被告(69)が姿を現した。上下緑色の出廷着にマスクを着用し、起訴状の朗読が終わると、「はい(間違いありません)」と答えた。

 起訴状によると、事件が起きたのは名古屋市中川区の病院。被告は18年1月25日午後2時すぎ、病院の外科診察室で男性医師の首を包丁(刃体の長さ約15センチ)で突き刺し、殺害しようとしたとされる。主治医として、被告の大腸がんの手術を担当した医師は、全治約6週間の重傷を負った。

 この日は、被害者の医師の証人尋問が行われる予定だったが、急きょ取り消された。検察官は「PTSDを発症し、事件のことを思い起こすと手が震え、何も考えられないため」と説明し、代わりに供述調書の読み上げを始めた。その内容から、事件の経緯をたどる。

 医師は06年からこの病院に勤め、専門は消化管外科だった。13年から被告の主治医になり、同年10月に大腸がんの手術を執刀した。

 事件当日は、経過観察のための診断だった。午後2時、血液検査などを終え、予約番号を呼ばれた被告は手にしたリュックに右手を入れたまま、診察室のカーテンを開けた。

 腰掛けていた医師は、リュック…

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