[PR]

 大阪府知事・大阪市長のダブル選が21日、火ぶたを切った。大阪維新の会が知事・市長候補を入れ替える異例の「クロス選」で、市長選(24日告示)、府議選・市議選(29日告示)と同日実施(4月7日投開票)の4重選挙となる。大阪都構想の是非を最大の争点に、維新以外の主要政党が「反維新」で結ぶという大阪特有の構図になった。

 「姑息(こそく)にも立場を入れ替える選挙を行う暴挙。維新府政、都構想の議論を終わらせる絶好の機会だ」

 21日午前、JR大阪駅前。自民党が推薦する元大阪府副知事で新顔の小西禎一(ただかず)氏(64)は第一声で、維新を痛烈に批判した。自民の二階俊博幹事長や公明党の北側一雄副代表らも駆けつけ、強固な組織力をアピールした。

 一方、維新政調会長で新顔の吉村洋文氏(43)はこの日、知事選立候補に伴って大阪市長を自動失職したばかり。大阪・難波での第一声で「自民から共産党まで一致団結して反対。守ろうとしているのは自らの既得権益だ」と訴えた。横には、24日告示の大阪市長選に臨む維新代表の松井一郎・大阪府知事(55)も並び立った。

 ダブル選は、「維新」対「反維新」という構図が際立つ展開になった。小西氏を擁立した自民を中心に反維新勢力が、濃淡の差はあれ「小西支援」を打ち出したからだ。

 前回2015年のダブル選で自主投票だった公明が府本部推薦を決定。国民民主党が府連支持、立憲民主党が府連の自主支援、共産が自主的支援を打ち出した。連合大阪も推薦。「都構想反対」を旗印に共闘態勢を築いた格好だ。

 大阪市長選に立候補する予定の柳本顕・元自民大阪市議(45)についても、同じ共闘の枠組みができた。こうした構図に維新は「野合・談合」と批判を強め、対立は激しさを増している。

安倍官邸の政権運営にも影響か

 都構想は、維新にとって「一丁目一番地」の政策だ。大阪市をなくして東京23区のような特別区に再編する制度改革。2010年、当時府知事だった橋下徹・前維新代表が提唱したが、15年5月の住民投票で僅差(きんさ)で否決された。その後の松井府政、吉村市政でも実現を目指し続けてきた。

 今回のダブル選は、住民投票の再実施に向けて府市両議会で協力を期待した公明との交渉決裂が引き金になった。首長選で信を問う手法は維新の常套(じょうとう)手段といえ、府議選・市議選と同日実施で相乗効果も狙う。

 ただ、思惑通り進むとは限らない。仮に首長選で一方でも落とせば、府市のトップを独占することで保ってきた求心力は一気に落ちる。所属議員が重なる国政政党「日本維新の会」の存在感も低下し、維新代表の松井氏と関係のいい安倍官邸の政権運営に影を落とす可能性がある。

 そもそも両首長ポストを得ても、府市両議会でそろって過半数を確保するのは簡単ではない。公明との関係修復はすぐには難しそうで、都構想の是非を問う住民投票の実施までの道筋は見通せない。

 「虎の子」のツートップのポストを懸けた勝負の一手。吉村氏は21日、関西テレビの番組で、どちらか落ちた場合は「(都構想は)もうできない」と言及。今回のダブル選は、維新にとって正念場になりそうだ。(新田哲史、吉川喬)

【動画】大阪クロス選って何?